【時の旅人】 の profil

 みなさん今日は、私は「ゆきやん」と申します。
 大和高原の小さな村に住み、高原の田畑と森を手入れする日々を送っています。
 森の木を最適な状況に管理し、間伐した枝を持ち帰り、薪(まき)と柴(しば)で風呂を焚きます。最近、「柴(しば)」と言っても若い人たちに伝わらなくなりました。ゴルフ場の芝ではなく、燃料にする「たき木」のことです。
 江戸時代の農民出身学者・新井白石のように柴を折り、燃料として利用する日々を過ごしています。海外から石炭や石油、天然ガスを輸入したり、原子力に頼らねば日々の生活が成り立たない現代社会にあって、江戸時代やはるか昔の縄文時代のような自然に近い生活を送っています。








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  038 2024/09/21


 明日のエネルギーはどうするのか その1
 



◎ 大和高原とエネルギー

 今から60年前、私の祖父が大和高原のクヌギの木を炭に焼いて三重県名張市まで出来上がった炭を肩に担いで売りに行っていました。
 なぜそんなことを覚えているのか。保育所に通い始めた自分にとって、祖父が買ってきてくれたクリスマス・ケーキを初めて見る驚きがあったからです。また当時珍しかったスチールのパイプ椅子も天秤棒にくくりつけて持ち帰っていました。

 大和高原は、古い時代から木材を提供する供給地でした。東大寺文書によると、この土地は名張川・木津川を経由して、奈良の地に建設資材を供給していた重要拠点でもあります。
 木材などの資材やエネルギーを供給する土地柄は、昔も今も変わっていないのではないでしょうか。いいえ、今こそ資材・エネルギーの供給地として役割を果たす時ではないでしょうか。問題をエネルギーに絞って考えたいと思います。


◎ 高知県檮原(ゆすはら)町に学ぶ

 次の写真は高知県梼原(ゆすはら)町の森林組合の作業場です。この中では「木質ペレット」が作られています。




◎ 木質ペレットとは

 山林で木材を作るとき、材木に適さない部分が必ず出てきます。この半端な部分を昔からご飯を炊くための燃料にしてきました。今、バイオマス燃料として発電に活用される一方、「木質ペレット」として暖房の燃料に活用されつつあります。ストーブの燃料として利用されているのは一例です。薪ストーブのようなしっかりした煙突は必要ありません。30cmくらいの、ちょうどガスストーブと同じ小さな煙突があれば、一台でいくつもの部屋が暖房され、灰も少なく利用しやすいのです。
 学校・保育園、老人施設の暖房。役場・公民館などでも先進的に使用されている実績があります。

 日本は、多くの森林に恵まれ、現在その森林は活用されずに木材は朽ち果てています。
 今こそ日本の森林を有効活用するときではないでしょうか。
 いつまでも石油・天然ガスの火力発電に頼らずに。また現在、稼働の停止している原発を補うためオーストラリアから「褐炭」を輸入して石炭火力で電力を補っている東京電力の例もあります。原発の再稼働もいつまで出来るのでしょうか。廃棄物の中間貯蔵施設はおろか最終処分場も決まっていないのです。
 電気・ガス・石油ひいては原子力などの資源にかえて、私たちの身近にある木材を利用すべき時ではないでしょうか。


◎ 大和高原こそクリーン・エネルーの産地に

 奈良県には木質ペレットを作っている森林組合はありません。ペレットストーブの利用者は、大阪府・滋賀県、兵庫県などの府県に買い出しに行かねばなりません。
 バイオ燃料は、生育途中にしっかりと二酸化炭素を吸収しているため、燃焼させても二酸化炭素の排出にカウントされません。

 大和高原こそ、自然に優しい、綺麗なエネルギーを作るに適した土地であると考えます。