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 012  2021年 9月 7日


 管首相の辞任と自民党総裁選
 〜たてまえと本音の交錯 狐と狸の化かし合いがまた始まる〜


 菅首相突然の退陣表明

 9月3日、菅首相は「自民党役員会で新型コロナに専念したい、自民党総裁選には出馬しないと申し上げた。両立はできない」と述べた。明らかな嘘、この言葉いったい誰が信じるのか。本当は総理大臣を続けたいくせに、支持率は下がり続け、横浜市長選での失態以降党員からは「選挙の顔にふさわしくない」とそっぽを向かれ、人事の刷新も解散権も封じられ、まさに八方ふさがりの結果ではなかったのか。今月9月末に総裁の任期が満了することから、菅首相は総裁選後に総理大臣を辞任する。
 菅首相の動きは、9月1日から慌ただしかった。前触れもなく自民党本部を訪れ、自民党・二階俊博幹事長と会談。首相自ら本部に来るのは異例。9月3日二階は「今朝聞いた。(本当か?)党の円満な今後の発展につなげていく。」と述べていた。

 そもそもなぜ二階俊博(82才)のような自民党の古い悪い汚い体質をそのまま現在に受け継いだような政治家が、党内の実力者として5年以上も君臨し続けるのか。二階といい麻生太郎といい、80才過ぎた高齢者がこの党を(日本の政治を)牛耳っていることに私は違和感を覚えるのだ。高齢者がお元気なのは結構なことなのだが、自らの権力闘争に明け暮れるのではなく、一歩ひいてもっと高所から若手を叱咤激励できないものか。



 だいたい自民党の70才定年制はどこにいったのか。小泉純一郎は、中曽根康弘も宮澤喜一も切ってみせた。あんな気構えを持つ自民党の総裁候補は今存在するのだろうか。

 1996年から実施された小選挙区制は、1選挙区ごとに1人を選ぶ。選挙戦は政党の政策を中心に争われ、候補者を公認した政党も選挙運動を行い、有権者にはどの党首を首相にするのかを選ぶ色合いが濃くなる。したがって、政権与党の支持者に加え、支持政党を持たない人にも幅広く知られ評価されるようなリーダーが求められるようになり、衆院選は「政権選択選挙」と呼ばれるようになった。



 退陣表明の背景・総裁選の行方は

 総理大臣の力の源泉は解散権と人事権。菅首相がこの2つを縛られてしまったのは非常に大きい。印象的だったのは総理大臣の進退という重大な局面で4日間連続して会談したのが32歳年下の小泉進次カ環境相だった。最後の重大局面で頼りになる党の役員、党の幹部や内閣の閣僚が本当に少なかったのではないか。
 では総裁選・衆院選の見通しはというと。
 岸田前政調会長はすでに立候補を表明。注目されるのが河野行政改革担当相と石破元幹事長。2人は非常に世論調査で人気も高い。衆議院選挙はどんなに遅くても11月の28日までには行われる。総裁選は、衆議院選挙に向けた顔選びだけに終始するのか、それとも新型コロナウイルス対策をどう実行していくのかその基準で選ぶのか、見極めていく必要がある。

 菅首相と小泉環境相は、河野行革相を支持する意向を周囲に示す。支持を受け河野の周辺は、「派閥に頼らずとも勝てる」と強気の声。

 なぜ河野を支持するのかについて、神奈川新聞首相官邸担当・有吉敏は、「菅首相は元々自分の後継には河野と小泉を考えていた、だから2人を閣内に入れて鍛えていた」とコメント。
 有吉の取材によると、あの横浜市長選後の8月末、小泉、萩生田光一文科相、菅、河野が総裁選について協議。菅首相は横にいた河野に「お前が出るなら俺は退くよ」とコメントしたという。
 有吉は「この当時は誰もが冗談で言ったんだろうと受け流していたが、今思えばこれが菅首相の本音だったのではないか」と述べた。



 菅首相が去年9月の首相就任時の会見で語った改革について。
改革1「携帯料金値下げ」。去年12月以降携帯大手3社が割安プランを発表(実現)。
改革2「不妊治療への支援拡充」。来年4月、不妊治療の保険適用を実施(実現)。
改革3「デジタル庁の新設」。9月1日にデジタル庁を発足。
   今後は行政手続きの簡素化、省庁や自治体が使用する情報システムを見直す(道半ば)
 内閣支持率と全国感染者数のグラフをみるとコロナが感染拡大する中で支持率は下降。

 8月30日〜9月2日、4日連続で菅首相と小泉環境相が会談し、小泉は「やはり情勢は厳しい。総裁選にこのまま突っ込んだら菅首相の再選は厳しいかもしれない」と述べた。
 有吉によると、不出馬表明の前日の9月2日、小泉は菅首相に対して「名誉の撤退もある。総理がぼろぼろになるのは見ていられない」と進言したという。

 飲食・観光業から悲鳴

 1年で辞任することとなった菅首相に対し、コロナ対策に不満を抱いてきたの飲食・観光業の人たちの思いは。
 東京・四谷・太平山酒蔵総本店・高橋幸夫社長は「なんでこんな大変なときに放り投げちゃうんだろう」と語った。去年から幾度となく休業要請や時短要請に応じてきた。現在の4度目の緊急事態宣言では、酒の提供禁止を順守しながらなんとか営業を続けている。
 その上で今回の辞任表明について、高橋社長は「自分勝手。国民のことを考えていない」と述べた。

 五輪と感染拡大は無関係?

 専門家や世論の反対を押し切る形で強行開催された東京オリパラ。大会前に菅首相は “安心安全”」と繰り返した。
 
 海外の選手やメディア関係者に提出が義務づけられた活動計画書には、2週間の隔離を免除してもらうための理由の記入が必要だった。しかし組織委員会が示した例文がそのまま書き写される事態が相次いだ。書類を組織委員会の職員自ら記入することもあったという。組織委員会の現役職員は「注意のマニュアルみたいなものが出回っていた。」と語った。
 
 大会が始まると規則を破る形で観光施設を訪れる関係者の数が増え続けたと、観光施設と会場を行き来していた大会運営の委託業者が証言。海外から入国した大会関係者によって、ラムダ株が日本に持ち込まれたが、公表されたのは閉会後。この間、1日当たりの新規感染者数は過去最高を更新し続けた。
 しかし菅首相は「東京の繁華街の人流は五輪開催前から増えていない」と述べた。五輪と感染拡大は無関係と強調し続ける政府の言葉に、組織委員会の現役職員は「“関係ない”と思っている人はいないのでは」と述べた。

 強行人事がもたらしたもの

 菅首相はこれまで強大な人事権をフル活用することで政権を運営。自らの著書「政治家の覚悟」でも明言。だが菅首相は人事で就任早々つまずいた。
 学術会議が推薦した学者6人の任命拒否問題。国会では詳細を語らない菅首相に対し、野党は追及を強めた。菅首相の「人事に関わるプロセスは答えを差し控える」という答弁に対し、日本共産党・小池晃書記局長は「人事のことが問題になっているときに答えられなければ、議論にならない」と述べた。
 任命拒否された学者の1人早稲田大学・岡田正則教授は菅首相の退陣表明について「恐怖心で人を動かそうということが菅政権の限界だったのでは」と述べた。
 菅首相は今もなお任命拒否の理由を明確にしていない。



 菅政権のこの1年をどう評価するのか。
 元鳥取県知事・片山善博元総務相は「自業自得内閣だった」と述べた。特に強く批判するのは、官僚組織が機能しなくなったこと。「人事権を握り、官邸主導を強めた安倍政権以来の政治手法の弊害がある」と指摘。次の政権が果たすべき役割について、「霞が関を立て直すの次の総理の役割」と述べた。

 野党は、菅首相が総裁選に出馬しないことに対して、“政治空白”につながると苦言を
呈している。「厳しさを増す国民生活や危機的状況の医療現場などへの支援が欠かせない
ときに、新内閣発足までの1ヵ月近く政治空白が続くことは到底許されない」



 菅政権の1年・振り返ると

 安倍政権、菅政権という流れの中で、何がおかしくなってしまったのかと振り返ったとき、片山元総務相がいうように官僚組織が駄目になってしまったことは本当に大きい。総務省の幹部接待事案は菅首相の息子が関わっていた。
 一連のコロナ対策で1年半経っても、医療体制を含め十分な体制が構築できていない。
 人事で権力を握った菅首相が最後は人事でつまずいて権力の座を去る。横浜市議の時代から人事で世の中を動かす。政策で人を引き付けるのではなく人事で従わせてきた。安倍政権時代も含めて長いこと人事主導で日本の政治を仕切ってきた弊害は大きい。1年前の安倍前首相の政権投げ出しの時とダブって見えた。
 
 菅政治とは何かということを一番分かりやすく示す例が、学術会議の任命拒否事件。
同じような姿勢が沖縄の基地問題や公文書の改ざん問題
に対しても。

 政治家にとって一番大切なものは言葉だ。にもかかわらず、異論反論は一切耳を傾けない、記者会見では原稿の棒読みが多く、不出馬の会見でも2分間で逃げ去るように消えた。果たしてこんな首相で良かったのだろうか。
 
 次の選挙では国民が自分自身の投票行動でリーダーを選ぶ視点を取り戻したい。
 
 そのためにも、マスコミ(特に新聞・テレビ)は自民党総裁選を過度に取り上げて結果的に自民党の応援をするのは止めてほしい。最近の取り上げ方は自民党の党利党略の宣伝に等しい。これは極めて不公平であり選挙違反ともいえる。なぜなら政権選択選挙の衆院選直前では、自民党総裁イコール総理大臣とは言えないのだから。
 
 最後に言いたいのは、管首相にコロナ対応の失敗の全責任を押しつけている自民党だ。今回の総裁選候補を含め、いったいどれだけ与党として国民の痛みや我慢の声に耳を傾けたのか。法が不備なら議員立法を提出したのか。コロナ対策に真摯に向き合ったのかどうか、私にはおおいに疑問が残る。選挙の直前に表紙を変え、国民を欺こうとするいつものやり方に、今回こそ国民はお灸を据えてほしい。