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人生は旅。
知らない街を歩いてみたい
知らない海をながめていたい
どこか遠くへ行きたい
遠い街遠い海
夢はるか一人旅。
けれど、
遠くへ行かなくても旅はできます。
たとえば、
近所を散歩して知人に出会い
雑談するのも旅。
誰かに読んでもらいたくて、
こうやって文を綴るのも
私にとっては旅。
さて、どこまで放浪できるか ……
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002 2019年5月25日
歌謡曲と私 〜恋に疲れた女は何処?
突然ですが、小噺を一つ。京都駅に着いた一人の男が駅員にこう尋ねた。「今からタクシーで大原まで行きたいのだが、費用はいくらぐらいになるかね?」すると駅員は「そうですね。」と前置きをしていきなり歌いだした。
「(^^♪きょうとーおおはら、さんぜんえん(三千円)♪ぐらいですかね?」
もう45年も前のことです。高校生2年生だった私は、いきさつは忘れましたが、クラブの先輩二人と京都の隠れ里「大原」に行くことになりました。
三千院に参拝すると、本堂でお坊さんからお話を30人ぐらいで聞くことになりました。「みなさん、ようこそお参り。本院に来られたきっかけは、この歌ではないですか?」と参拝者一同を笑顔で睨むので、みなさんクスクス笑い出します。するとまあよく通るいい声でお坊さん歌いだしました。「^^♪きょうとーおおはらさんぜんいん、こいにつかれたおんながひとりー」参拝客から大きな拍手、お坊さん数秒沈黙の後「歌詞はここまでしか知らないの!」今度は大爆笑。まさにつかみはOKでした。
お坊さんの話は続きます。「昔から大原に来られる観光客は女性が圧倒的に多いのよ。しかも元気で明るい方ばかりなの。みなさん今日この大原を散策してたくさんの女性を見かけられて、そう思わなかった?」このお坊さん、今風の言葉でいうとオネエ口調で、お坊さんのイメージからはほど遠いのですが、親しみが持てます。「でもこの歌が流行ったおかげで大原には、恋に疲れた女が着物を着て、川か池のほとりに佇んでいると全国の人が思っちゃったのよ。みなさん、そんな女見かけました?いませんよね!本当に迷惑しているのよ!」再び大爆笑!この後三千院の歴史や本堂の造り、庭園の工夫などたくさんお話されましたが、最初の話の印象が強くて後は何も頭に入ってきませんでした。
そうか、歌の持つ世界観と現実は違うんだ、ご当地ソングなんて案外そういうものかも知れないな。イメージ先行の功罪とは何だろう、嘘と誠が同居するのが大人の世界なのか。高校生だった私は精一杯背伸びしながら思いを巡らせていました。
この歌は、「女ひとり」という題で、作詞永六輔、作曲いずみたく、歌唱デュークエイセス、「にほんのうた」シリーズの京都府を舞台にした曲だったということを、随分後に知りました。
なおご一緒したクラブの先輩とは二人とも女性で、お一人は元気で明るい方、もうお一人は当時恋に疲れた女でした。