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人生は旅。 
知らない街を歩いてみたい 
知らない海をながめていたい 
どこか遠くへ行きたい 
遠い街遠い海
夢はるか一人旅。

けれど、
遠くへ行かなくても旅はできます。

たとえば、
近所を散歩して知人に出会い
雑談するのも旅。
誰かに読んでもらいたくて、
こうやって文を綴るのも
私にとっては旅。

さて、どこまで放浪できるか ……






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 019  2019年12月05日

 木曽路 登山の楽しくもほろ苦い思い出



 ダウンタウンなう〜本音ではしご酒〜という番組で、俳優の綾野剛(あやの ごう)がこう語っていました。「僕は観光とか外国にはあまり興味がないので旅行に行くことは少ないですが、人に会うためでしたらどこへでも行きます。とにかく人と話すのが好きなんです。」この言葉で私は綾野剛という俳優に好感をもちました。
綾野剛は俳優として暫く下積みでしたが、NHKの朝ドラ「カーネーション」で注目され、2013年の大河ドラマ「八重の桜」で松平 容保(かたもり)を演じブレイクしたと記憶しています。

          

「旅に出るということは、知らない誰かに出会うためでもあるし、知っている誰かに会いに行くためでもある。」旅の目的は人それぞれにあっていいと思います。
私の旅の目的の一つは、登山と古道歩きです。その両方を満喫させてくれるところは木曽路です。「木曽路はすべて山の中である」(「夜明け前」島崎藤村)で有名なあの木曽路です。
 
 関西方面から木曽路へ車で行くには、中央高速道路で中津川ICに向かいそこから国道19号を北上し約30分で木曽路の南玄関「馬籠」到着します。
もし時間があれば、中津川ICの2つ手前の瑞浪ICを降りて国道19号線を東へ進み、恵那ICまで向かってください。この間信号がほとんど無く、高速道路状態で快適なドライブが出来ます。道路の周りは自然がいっぱいで、春は桜、秋は紅葉が車の中で楽しめます。
 道中、右手に恵那山(えなさん)、正面に南木曽岳(なぎそだけ)、左手に御嶽山(おんたけさん)が時々顔を見せてくれます。山好きな私が見つけた贅沢なドライブコースです。
この3つの山にはそれぞれ楽しくもほろ苦い思い出があります。
 


 恵那山(2191m)は過去2回トライしましたが途中断念しました。日帰り登山出来るのですが、その行程の長いこと。体力的に無理でした。帰り道でニホンカモシカに遭遇したこともありました。ニホンカモシカは全身が黒いので遠くからだと「熊」に見えます。熊に遭遇したら「死んだふりをしろ」(これは間違った情報)とか「熊から視線をそらさず、ゆっくり後ずさりする」(これは正しい情報ですが現実的には難しい)とかいいますが、実際は恐怖で動けません。熊ではなくニホンカモシカだと分かっても、その姿が見えなくなるまで体は動きませんでした。
 地元の猟師さんに、さばきたての猪肉をいただいたこともありました。携帯コンロで鍋焼きうどんを煮込み、そこに入れていただきました。全く臭みがなく味が濃くて美味しかったです。
8年前に3回目でやっと初登頂しました。頂上は木々に囲まれ展望はありませんが、地元の方に絶景のビューポイントを教わり、遥か遠くに見える富士山に感動したことを思い出します。ただ、登山時間が長かったせいか下山間際に足がつって満足に歩けなかった思い出があります。
 
南木曽岳(1679m)は、登山コースが自然のフィールドアスレチックみたいにバラエティに富んでいて、楽しく登山出来ました。頂上は展望が無かったのでがっかりしましたが、三角点の北東100m程の位置に、標高1679 mの最高地点となる標高点があり、そこから素晴らしい北・中央アルプスの眺めを堪能しました。
その晩、昼神温泉の名湯に浸かり美味しいお酒と料理をいただき、気持ちよく寝ました。朝風呂と朝食を楽しみにしながら。しかしなぜか翌朝酷い腰痛におそわれ、歩くこともままならぬ状態でした。仕事を2日も休みました。16年前の思い出です。

 
 
 御岳山(3067m)は関西から一番近い3千メートル級で、2002年に初登頂して以来10回登山しています。私には3千メートル越えで一番登頂回数の多い山です。2014年9月に噴火する1か月半前に登山したのが最後です。もう1回何とか登りたいと思っているのですが。
御嶽山は富士山と同じ独立峰で、写真を見ていただくとお分かりだと思いますが、山頂付近がもの凄く広いです。富士山や開聞岳(鹿児島県)のような円錐状ではありません。一説によると、大昔は綺麗な円錐状だったのですが、噴火のせいで山頂付近が飛ばされてしまい現在の形になったそうです。もしその時の噴火が無かったら、間違いなく富士山より高い日本一の山だったということです。



初登頂の時、生き帰りの車の中でずっと当時流行っていた夏川りみの「涙そうそう」を聴いていたので、今でもこの曲を聴くと私は御嶽山の山容が浮かんできます。
沖縄出身のBEGINが作曲し夏川りみが歌ってヒットし、三線(さんしん 沖縄の三味線)で演奏されることが多いので沖縄の曲と思われがちですが、森山良子が若くして死んだ山好きの兄(よく長野県の穂高に行ったらしい)を想って作詞した曲なので、ある意味「山の歌」とも解釈できます。
 二番の歌詞「一番星に祈る それが私のくせになり 夕暮れに見上げる空 心いっぱいあなたさがす」を聴くと、無事下山し登山口の駐車場に着いた時、御嶽山に沈んでいく夕日があまりにもきれいだったのでずっと眺めていたら、風邪をひいてしまい酷い頭痛に襲われたことを思い出します。
では、森山良子の歌う「涙そうそう」をフォークギターの伴奏でお聞きください。



「日本百名山」の著者深田久弥(ふかだ きゅうや)は「百の頂(いただき)に百の喜びあり」と語っています。私には10回登った御嶽山には10色の、3回トライした恵那山には3種類の、1回しか登山していない南木曽岳にも唯一無二の、それぞれの思い出があります。