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人生は旅。 
知らない街を歩いてみたい 
知らない海をながめていたい 
どこか遠くへ行きたい 
遠い街遠い海
夢はるか一人旅。

けれど、
遠くへ行かなくても旅はできます。

たとえば、
近所を散歩して知人に出会い
雑談するのも旅。
誰かに読んでもらいたくて、
こうやって文を綴るのも
私にとっては旅。

さて、どこまで放浪できるか ……







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 044  2020年11月24日

 「人生劇場」 その歌詞の意味を考えてみると


 大正琴の伴奏で島津亜矢が歌う「人生劇場」を聴くと、なぜかしびれてしまって、歌詞とメロディーが暫く頭から離れなかった。
 この歌詞、よくよく味わってみたら、実に興味深くて面白くて問題が多い。そこで私なりの解釈で歌詞を現代風に分析することにした。



1 やると思えば どこまでやるさ   それが男の 魂じゃないか
  義理がすたれば この世は闇だ   なまじとめるな 夜の雨


 やると決めた事を最後までやり遂げられる人は男にも女にもいる。それを「男の魂」というのはどうかと思う。私の周りでは「初志貫徹」出来るのは女性に多く、男はどうも腰抜けが多いような感じがする。

 さて、「義理」とは何だろう?

 例えば今年9月の自民党総裁選。派閥の親分が自分の今の立場(例えば財務大臣、党幹事長)を守ってくれるのはさんだと狙いを定め、いち早く支持を決める。もちろん個々の自民党議員には、次の総裁は岸田さんがいい、いや石破さんこそといろんな思いがあったに違いない。しかし自分の派閥のリーダーの命令を聞いて菅さんに投票しないと「義理がすたる」のだ。というより、はっきりいって後が怖いのだ。
 結局自分の思いや人情は切り捨てられる。これでいいのだろうか。自民党総裁選は、自分の派閥のリーダーを総理大臣に据えることより、党内での利益というパイの取り合いになってきている。80才を超えてなお、権力にしがみつきたい麻生さんや二階さんはある意味ご立派。まさに(自分のための)人生劇場、男の(醜い)世界!

2 あんな女に 未練はないが    なぜか涙が 流れてならぬ
  男ごころは 男でなけりゃ    解るものかと あきらめた


 現代ではこういう表現は良くないのだが、あえて使わせていただく。2番の歌詞は女々(めめ)しいのだ。






  女々しいとは「態度や気性が柔弱である。いくじがない。主に男性についていう。」と辞書に載っていた。めめしいを漢字で女女しいと書くのは気に入らないし問題だが、この歌詞の通り、男とは女々しいものである。強がっているが、別れた女に未練たっぷりだし、別れてからも自分のことを好きであっていてほしい「別れても好きな人」だと思っていてほしいなんて願っている。
 しかし今の女性は男の願いとは違う! 「別れたら次の人」なのだ。(これっていろんな人から苦情がくるかもしれないが(笑))

3 時世時節(ときよじせつ)は 変わろとままよ  吉良の仁吉は 男じゃないか
  おれも生きたや 仁吉のように         義理と人情の この世界


 時世時節とは「その時その時の移り変わり。その時その時のめぐりあわせ。」という意味らしい。
 吉良の仁吉(きらのにきち)ってどんな人だろう。江戸時代の任侠の世界の人だということは何となく知っている。任侠の人で私が知っている名前は「国定忠治」か「清水の次郎長」で、あとは「潮来の伊太郎」と「箱根八里の半次郎」ぐらいかな。



 吉良の仁吉は実在の人物で、義理のために恋女房と離縁し、義理のために喧嘩で死んでいく「男の中の男」として芝居や映画で描かれているらしいが、実は結婚歴は無く、エピソードの多くは後に講談師や浪曲師などによって創作されたものである。「国定忠治」や「清水の次郎長」の話も創作が多く、義理のために生きた任侠の男とは言い難いというのが真相のようだ。
 そういえば市川崑監督、中村敦夫主演の「木枯し紋次郎」は、ニヒルでカッコよくて義理にも人情にも厚い任侠の男だった。もっともこちらは人気作家笹沢左保の創作上の人物だが。



4 端(はした)役者の 俺ではあるが  早稲田に学んで 波風受けて
  行くぞ男の この花道を       人生劇場 いざ序幕


 あまり知られていないが、上記のような4番の歌詞も存在する。
 さて最後に、男の本家村田英雄「人生劇場」。そして歌詞もメロディーも人生劇場によく似ている曲として、演歌界のボーイッシュ畠山みどり「出世街道」、不器用な男高倉健「唐獅子牡丹」。この3曲を聞き比べていただきたい。