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人生は旅。 
知らない街を歩いてみたい 
知らない海をながめていたい 
どこか遠くへ行きたい 
遠い街遠い海
夢はるか一人旅。

けれど、
遠くへ行かなくても旅はできます。

たとえば、
近所を散歩して知人に出会い
雑談するのも旅。
誰かに読んでもらいたくて、
こうやって文を綴るのも
私にとっては旅。

さて、どこまで放浪できるか ……







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 050  2021年1月15日

 ドラマ
「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル」
 〜こんな時代だからこそ、観てほしい、考えてほしい 2 〜


 子どもからお年寄りまでみんなが知っている、みんなが踊ったというヒット曲が毎年のように生まれている。
☆ 去年2020年だったら、縄跳びダンスNiziUの「 Make you happy」
☆ 19年はNHKみんなのうたから誕生したFoorinの「パプリカ」
☆ 18年はダサかっこいいDA PUMP の「U.S.A.」というように。



 2016年といえばやっぱり星野源の「恋」。それではドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のエンディング「恋ダンス」をご覧ください。



 ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」は2016年10月から全11話で放送された。主演は新垣結衣と星野源。「逃げるは恥だが役に立つ」とは、もともとハンガリーのことわざ「Szegyen a futas, de hasznos.」の和訳で「恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことが大切」の意味である。
10話までの話の展開はいろんな社会的問題を提起していて面白かったのだが、最終回があまりにも予定調和だったので、がっかりしたことを覚えている。ここではドラマの内容・解説は省かせていただく。

 ドラマの放送終了から4年。今年1月2日に、その後を描く「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル」を観た。あまり期待はしていなかったが、これがとんでもなく良い出来で、現代社会が抱える問題を分かりやすく提起してくれる、掘り出し物だった。

 あらすじ
 家庭という仕事場の「共同経営者」である森山 みくり(新垣結衣)と津崎 平匡(ひらまさ・星野 源)。共働きとなり、2人に最適な家事の分担もできて、平和で幸せな日々を過ごしていた。
 ある日、みくりの会社では女子社員の「出産の順番待ち」という話題が上がる。そんな中、みくりの妊娠が発覚。みくりと平匡はついに正式に結婚をすることになるが、入籍をめぐってひと悶着が。さらに、つわりで苦しむみくりを前に混乱する平匡は「泣きたいのはこっち」と弱音を吐く始末。大切なプロジェクトを前に育休を取ることを決める平匡だったが、そんな窮地を支えてくれたのは昔の同僚である沼田(古田新太)たちだった…。
 家事の役割分担など暮らしの再構築を目指すが、出産、育児と慣れない出来事の連続に翻弄(ほんろう)されていく2人。そして、"ある出来事"がみくりと平匡の間を引き裂き、離ればなれの日々を過ごすことに。2人は再び"ハグの日"を取り戻すことはできるのか!?



 ここで、ジャーナリストなかのかおり氏のレビュー(批評・感想)を抜粋して紹介する。



 「逃げ恥」が描く「つわり・男性育休・コロナ禍の子育て」とマイノリティの生き方

 主題歌の「恋ダンス」と共に社会現象を起こしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」。家事労働や多様性についてユーモアを交え描いた物語は、共感を呼んだ。
 「ガンバレ人類!新春スペシャル?」では、新垣結衣がつわりに苦しむ妊婦と乳児の母を体当たりで演じた。リアルなケースと名言の数々は、社会のモヤモヤを「見える化」し、整理するきっかけになりそうだ。コロナ禍の生き方にも踏み込み、再び緊急事態宣言が検討される今、視聴者に寄り添うメッセージもある。
 
〇別姓・つわり・育休…課題は山積み

 みくりの妊娠がわかり、体の変化や、夫婦関係、職場の対応、社会の仕組みなど、リアルな課題が押し寄せる。例えば、妊娠がわかったときの平匡の反応にモヤモヤするみくり。リスクもあるから、単純に喜ぶわけにもいかないのだけれど、夫婦の温度差を感じる瞬間の一つだ。二人は、選択的夫婦別姓の制度化を待って、入籍していなかったという。一人っ子で、実力で評価される職種の平匡に譲り、みくりが姓を変える。さらに、妊娠・出産をめぐる数々のエピソードがちりばめられていた。参考になるケースとして、以下で紹介したい。

【父親とは】 「全力でサポートします」という平匡。みくりは「違う」「一緒に育てるんじゃないの」と主張→夫は「手伝う」と言いがち。自分事にしてほしい。

【つわり】 みくりは眠くてずっと横になり、会社にも行けず、家中が散らかり、しょっちゅう吐く。「ものすごい細胞分裂が体の中で起きているのだから、眠くなるのはわかるけれど、家事の負担が増えた」と悪気なく思う平匡→経験した人にしかわからない辛さ。平匡は理解できないながらも、みくりのためにグレープフルーツゼリーを探しに走る優しさがあり、SNSで「うらやましい」との声もあがった。


【産休・育休】 休む間、誰がその分の仕事をするのかという職場の声。

【男性の育休】 平匡が1ヵ月取ると言うと、「仕事をなめている」「1週間が妥当」「みんなが取るようになったらどうするの」と言う職場のリーダー。「仕事を休めないってことが異常だよね」と一致するみくりたち。「『普通』のアップデートをして道を切り開いていきましょう」と前向きな平匡→子育て中の人を特別扱いすると、周囲の負担が増えるのは事実。社会全体で長時間労働を減らし、介護・リフレッシュ休暇含め、休みやすい態勢にアップデート、という前提でありたい。

【職場の理解】 平匡の元上司の沼田(古田新太)は、仕事の打ち合わせで平匡の育休取得への職場リーダーの不満を聞き出し、「育休に限らず、誰が休んでも仕事が回る、帰ってこられる環境を普段から作っておく。それが職場におけるリスク管理」と喝を入れた。一方、平匡は育休を目指して周りに頼んでいた仕事が進まず、みくりの妊娠後期のつわりで家事が山積み。「働く女性はどうしてるのか」と気づく→こんな上司がいれば、職場の雰囲気がよくなりそう。体が動かないみくりのいら立ちに、共感する女性は多いのでは。

【調理家電】 昭和風に励ましてくれる父親に、「大黒柱って古いんじゃないかな」「夫婦2人の責任でやっていく」という平匡。母親も驚くような、おいしい味噌汁を作れるようになっていた。「調理家電を使えば簡単」と教えると、父親も興味を持つ→いまや、食洗器や洗濯乾燥機など時短家電の導入は当たり前。男性が家事の効率化を試みるのもおもしろいかもしれない。

【夫婦のすれ違い】 平匡が仕事と家庭のケアに多忙な時、みくりが求めるトイレットペーパーを買いに、必死の思いで深夜営業のスーパーへ。だが連絡がすれ違い、必要なかった。むっとする平匡泣くみくり→相手を思ってしたのにとくじける時もあるが、体調の悪い妻をたててほしい。




【子供の名前】 男性でも女性でも通用する名づけ→セクシュアルマイノリティだった場合もさらりと考える二人に、視聴者から驚きの声が上がった。

【妊娠後期】 初期のつわりがおさまると、食べられるようになって動けるが、後期にも大きくなったお腹に胃が押され、吐き気・尿漏れ・足がつるなどトラブルが起きる→ガッキーの体当たり演技で「見える化」された。出産を前に部屋は荒れ果て、いっぱいいっぱいの二人にやきもきしたが、みくりが家政婦を頼んできれいにした。「周りの手を借りてやっていきましょう」「辛い時は辛いと言いあう。話して共感することも大切」という二人の会話は、視聴者へのメッセージでもある。ドラマで産後はコロナ禍に突入し、みくりが子連れで千葉県の実家に疎開してしまった。

○家族間に距離…でも世界は美しい

 今回の「逃げ恥」で一番驚いたのは、新型コロナウイルスの影響が正面から描かれたことだ。平匡の育休や子育てのドタバタが描かれる平和な世界を想像していたところ、コロナの感染拡大を知ったみくりたちが呆然とするシーンが映し出され、がつんと衝撃を受けた。
 コロナの赤ちゃんへの影響を、検索しまくるみくり。マスクもアルコール消毒液も手に入らない。平匡は、育休を返上し、在宅ワークへの切り替えという大変な仕事を引き受ける。育休に関してパワハラ発言をしていた職場のリーダーは、会社のマスクやアルコールを社員に配る気遣いを見せ、非常時に力を発揮した。

 家族との距離も必要になった。ハグもできないし、いちいち手洗いや洗濯もしないといけない。みくりは千葉の実家で「もし東京にいる平匡が感染して、熱を出したらどうしよう。二度と会えなかったらどうしよう」と心配する。

 平匡もハグしておけばよかった、赤ちゃんの顔を見ておけばよかったと思い詰め、排除・差別が激しくなる世界を見て、「自分もそうなってしまうのか」「戦争になるのでは」と不安が膨らむ。そんな時に、家族の写真を見て笑顔を取り戻す。「大丈夫だ、世界はこんなにも美しい」

〇生きていればまた会える

 様々なメッセージを伝える今回の「逃げ恥」。その中でも、「生きていればまた会える」との言葉が、コロナ禍でリアルに刺さる。そしてドラマでは、現実の私たちのようにオンラインで仲間とつながる。ラストは、緊急事態宣言が解除された後だろうか、ほっとする結末だった。

 実際は、そんなに簡単な話ではないけれど…。筆者も含め、ワンオペ育児(子育てと家事と仕事の全てを一人でこなす)で休校・休園期間を必死に過ごしたり、人との交流ができない中でお産をしたり、産後を孤独に過ごしてきた人もいる。逆に、在宅ワークになったけれど家事・育児をしない夫が多かったというアンケート結果もある。高齢の祖父母に、頼れなくなった人も多い。家族は、近すぎても遠くても、難しいのだ。

 それでも、ドラマの世界でみくりは温かい実家でサポートを受け、仲間に恵まれていて良かったと思う。ただでさえ結婚のハードルが高く、妊娠・子育ても大変な時代に、先の見えないコロナ禍に突入してしまった。これからを生きる若い世代も、ドラマから「家族は大事」「ほどよい距離の仲間も必要」というプラスのイメージを感じ取れたのではないだろうか。

〇触れ合える日常の尊さ

 最後に恋ダンスの新しいバージョンが流れ、出演者の笑顔がはじけた。その中にこんなクレジットが流れた。

「おかえり」「ただいま」そう言い合える毎日を  触れ合えるこの距離を…

 さりげない言葉の贈り物だと思う。感染拡大は収まらず、医療関係者は必死に働いていて、家族と接触しないようにしている。リスクにさらされる看護師の本音を記事にすると、予想をはるかに超える反響があった。私たちも友達家族との食事も自粛しているし、至近距離でおしゃべりしてぐちをこぼすこともできない。カフェやコンビニでは、集まる場がなくなったシニアや子連れのママたちが、周りを気にしながら小さい輪を作っている。

 仕事の仕方も価値も、コミュニケーション法も変わった。オンラインで効率化した部分はありがたいけれど、触れ合いたいし、しゃべりたい。人類は、そう願っている。「コロナが収束すれば、あれもこれもできる」とは思えないし、不安を減らせる材料はまだない。でも、何気ない日常こそが尊いということは忘れないように。

 今を生きるために、「逃げ恥」がメッセージを伝えてくれたと思う。                                  
                なかのかおり ジャーナリスト(福祉・医療・労働)





 先日なぜかふっと顔が浮かんできたので、30年近く会うことも連絡もしなかった友人に電話をしてみた。お互い若い時から音楽好きで、彼も私と同様今も音楽に関わっていると聞いて嬉しくなった。「近々会って話をしよう、今後は連絡を取り合い音楽活動で協力しよう」と約束した。
 近所にコロナ禍にはぴったりのカフェがある。いつ行っても空いているのだ(笑) 密の心配が無い。店主が気さくな人で、初対面のお客同士でも気軽に会話できる明るい雰囲気の店だ。

 コロナ禍で活動出来なかったことがあった、これからも出来ないことがたくさんあるだろう。けれど、今まで通り普通に忙しく毎日を過ごしていたら、この友人のことを思い出し連絡を取り合おうとしただろうか、また、この近所のカフェに通っただろうか。こんなふうに、コロナ禍だからこそ出来る発想や行動ってきっとあるのだろう。
 今までの人生でついつい置いてきぼりにした大切な忘れ物がなかっただろうか。あれば今こそ取りにいきたい、ふとそんな気になった。

 では、「 逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル」の予告編2本をご覧ください。