有朋自遠方来 放浪楽人(さすらひのがくと)
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人生は旅。
知らない街を歩いてみたい
知らない海をながめていたい
どこか遠くへ行きたい
遠い街遠い海
夢はるか一人旅。
けれど、
遠くへ行かなくても旅はできます。
たとえば、
近所を散歩して知人に出会い
雑談するのも旅。
誰かに読んでもらいたくて、
こうやって文を綴るのも
私にとっては旅。
さて、どこまで放浪できるか ……

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裁かれるのは何 裁くのは誰
〜 昔話法廷 さるかに合戦 〜

とある法廷で、始まった裁判員裁判。裁判員たちは、法廷で見たり聞いたりすることをもとに、このちょっとフシギな裁判の判決を考えなくてはなりません。裁かれる被告人は、猿。硬い青柿をぶつけて、カニを殺した罪に問われています。

猿が犯したとされる罪を、検察官が述べます。「被告人の猿は、何の落ち度もないカニの命を無残に奪いました。事件当時20歳だった猿は、柿を取れずに困っていたカニの親子に出会いました。猿は『自分が取ってやろう』と言って木に登り、熟れた柿を食べつくしました。そのことに、文句を言った母ガニに猿は逆上。まだ青くて硬い柿をしつように投げつけました。何発も直撃を食らった母ガニと幼い娘二人は、体を砕かれ死亡しました。
猿は逮捕されるまでの8年間、逃亡を続けました。これは刑法第199条の殺人罪にあたります。そして、この短絡的であまりにも残虐な犯行は、死刑が相当と考えます。」猿は、検察官が述べた内容を全面的に認めました。
弁護人は、犯行に至るまでの猿の境遇に同情の余地があること、猿が十分に反省し更生していることから、「死刑にすべきではない」と訴えます。裁判員に突きつけられたのは、
猿を死刑にするか、死刑にしないか、ひとつの命をめぐる判断なのです。

証人尋問・子ガニ

また、事件当時8歳だった子ガニは、母と妹たちが殺される現場を目撃していました。「猿は、『死ね!死ね!』とすごい形相で柿を投げつけていました。僕は怖くて動けなくて、ただ見ていることしかできませんでした…。」
事件から8年後、猿の居所を突き止めた子ガニは、臼、栗、蜂、牛のフンを伴い、仇を討とうと猿を襲撃しました。「僕は母たちを見殺しにした自分を責め続けてきました。それを償うためには、この手で猿を殺すしかないと思ってきました。」しかし、子ガニは、自ら手を下すことなく、猿を警察に引き渡した。「殺しきれなかったふがいない自分に代わって、法律が猿に死を与えてくれると信じています。」
つづいて、弁護人が反対尋問を行います。「あなたは、なぜ猿を殺すことができなかったのですか?」子ガニは、自分のハサミを猿の首にかけておきながら、切り落とすことができなかったのです。子ガニは理由を答えます。「猿の家の壁に、猿の子どもが描いた絵が飾られていて…。それを見たら、どうしても猿を殺すことができなくなりました…。」弁護人は、子ガニに尋ねます。「あなたは死刑を望んでいるが、本当は、猿の命を奪ってはいけないと思っているのではありませんか?愛する人を奪われる悲しみを知っているあなただからこそ!」
証人尋問・猿の妻

傍聴席には、猿の幼い子どもが来ています。「夫は、生まれたばかりのあの子を抱いて、何度も私に『ありがとう、ありがとう』と礼を言いました。優しくて、本当にいい父親なんです…。」妻は、猿がひとりの父親として更生していることを訴えます。
そして、弁護人から、猿が、子ガニに対して毎月5万円の仕送りをしていた事実が明かされます。妻は、裁判員に訴えます。「夫は本当に後悔しています。ですから、どうか生きて償わせてください!息子から父親を奪わないでやってほしいんです!」
反対尋問に立った検察官は、矢継ぎ早に、猿の妻に質問します。「あなたは『生きて償わせてほしい』と言いましたが、では具体的にどう償うつもりですか?」「毎月の仕送りも、償いではなく、ただ罪の意識を軽くするために行っていたのではないですか?」「あなたは、猿が後悔していると言いましたが、ではなぜ8年間も身を隠し出頭しなかったのでしょうか?」検察官は、子ガニから家族を奪った罪が償いきれるものではないこと、猿が身勝手であることを訴えていきます。
被告人質問・猿

しかし、中学に入ったある日、猿は鏡を見て、愕然としました。鏡にうつった自分の姿が、あの父親にそっくりだったのです。「父のようになってしまうのではないか、強い恐怖を抱きました。でも、父のようになりたくないと思えば思うほど、仕草も言葉づかいも似てくるんです…。そんな自分自身に耐え切れなくなっていきました…。」猿は追い詰められていたのです。
続いて、猿は、事件当日のことについて話します。「あの日、当時交際していた女性と、ちょっとしたことで口論になりました。その時、つい手を上げそうになったんです…。その瞬間、私は『父になってしまった』と思いました。震えが止まらなくなりました…。」
そんなときに、猿は、カニの親子に出会ったのです。「幸せそうなカニの親子がいらだたしくて、木に登り柿を食べつくしました。そしたら、怒った母ガニに…言われたんです。」その一言が、猿が一番言われたくなかった、「ひとでなし」だったのです。猿がその時の気持ちを、涙声で語ります。「私の中で何かが切れてしまいました。『だまれ!だまれ!』という気持ちで柿を投げ続けました。それだけは、認めたくなかったんです!本当に…申し訳ありませんでした!」
猿は、子ガニのほうを向きなおり、深々と頭を下げました。

「命ってそんなに軽いものですか?」
猿は、何も答えることができません。
最終弁論
最後に、検察官と弁護人がお互いの意見を述べ合います。
検察官は、「猿は、極めて残虐な方法で、親子3人の命を奪いました。しかも、その動機は、あまりに自己中心的です。遺族の処罰感情も強く、もはや死をもって償うしかありません!」と訴えます。
一方、弁護人は「本件は、精神的に追い詰められた末の衝動的な犯行であり、計画性はありません。さらに、猿は十分に反省し、一人の父親として更生しています。これらは、死刑を回避するのに十分な理由です。命を奪った罪は命でしか償えないものでしょうか。猿は生きて償うべきです!」と訴えます。
猿を死刑にするか、死刑にしないか。裁判員たちは、ひとつの命をめぐる判断をくださなければなりません。

(以上 NHK for School HPより抜粋)
さて、何の前振りも導入も無く本筋が始まったので驚いた方もおられるかもしれない。NHK Eテレの「昔話法廷」をご覧になられたことはあるだろうか。小学校高学年から高校生までを対象にした番組で、2015年8月第1話「三匹のこぶた裁判」から2021年3月第11話「桃太郎裁判」まで、のべ7年に渡り年に2〜3話のペースで放送された。
今回紹介した「さるかに合戦裁判」は2017年8月に第8話として放送された。
番組の最後で、被告人が有罪か無罪かの結論は出ない。それは視聴者の判断に委ねられる。
出演する検察官、弁護人、証人役の俳優が豪華(さるかに合戦裁判では、検察官小林聡美 弁護人小澤征悦)で、被告人や証人になる動物たちの着ぐるみも精巧に出来ていることに驚かされる。また、俳優たちの熱演が、起こった事件の深刻さや難しさを一層浮き彫りにする。決して笑い話でもほのぼのとした話でもない。昔話をベースにしながら、事件を現代の法律に照らし合わせ、今日的な社会問題を捉えながら、死刑制度や裁判員裁判の在り方まで提起する脚本の素晴らしさに感心する。これは子ども達だけではなく、大人こそ見るべき番組だ。

番組の放送が終わった今も、教育現場ではこの番組を視聴して裁判制度を体験する授業が行われており、児童・生徒にはとても評判がいいそうだ。子ども達が自分たちで考え、みんなで討論する授業は大歓迎だ。
「罪を憎んで人を憎まず」ということわざがあるが、罪を犯した人間を、人間が裁くことは出来ないのではないだろうか。裁判官や裁判員という人間が裁けるのはその「罪」であろう。
ここで、小林聡美扮する検察官の被告人質問を思い出していただきたい。
「あなたはNATOの勢力がどんどんロシアに近づいてくることに危機感を感じて追い詰められていたのかもしれない。しかし、そんなことは、ウクライナの国民にとっては何の関係もないことです。あなたは、逃げようとしたウクライナの幼い子どもたちまでもねらった!ただ、自分の気持ちを静めるためだけに!」そして、国際的な世論は問いかけます。
「命ってそんなに軽いものですか?」 プーチンは何も答えることができません。
私にはそんなふうにも聞こえた。

最後に、昔話法廷「さるかに合戦裁判」のSNS上のレビューを紹介する。
「昔話は主人公=善みたいなイメージだったので覆される部分があった。」
「こうやってみると、童話とか昔話は犯罪に溢れているな。あとはどれだけのバックボーンで情状酌量の余地があるかが争点になる。そのあたりをうまく抜き出している。」
「さるかに合戦って、改めて聞くと結構残酷な事件なのですね。猿が悪い事を前提に、過去はどうであれ、犯した罪の重さを考える。」
「親しみ深い昔話を題材に「もし、昔話の主人公たちが訴えられたら」との設定で、昔話の登場人物が現代の法廷で裁かれる様子を裁判員の視点から描いた法廷ドラマを通じて裁判員制度について考える。「猿蟹合戦」では、何故猿が蟹の親子に柿をぶつけて殺したかを突っ込んで、裁判で明らかにする中で、「物事の二面性」を理解し様々な側面から考え判断することを学ぶ良い教材としてのショートドラマに仕上がっている。また昔話の中に描かれている貧困や虐待の問題も、上手く描かれている。」
★★ 読者のみなさんからのレビュー(感想) 第68話 ★★
厳しい自然を愛す人への敬意と、亡くなった方への追悼を込めて 〜加藤登紀子の知床旅情〜
森繁さんと加藤さんのお二人の知床旅情の歌を通じてのエピソード感動です。知床の自然を肌で感じながらこの歌を聞いてみたいです。
(やまとなでしこさん 80才代女性)
知床旅情を歌う加藤登紀子さんの、その時々の歌に込める想いの変化を知ることができました。私も加藤さんへの想いを少し。
朝日新聞の記事、私も読みました。そして日曜日に連載されている「加藤登紀子のひらり一言」も加藤さんらしい表現で共感できます。
加藤さんが知床旅情を歌われていた頃は、マスコミに語られる飾らない言葉、獄中の人との結婚など、高校生の私には理解しがたい特別な人に映っていました
100万本のバラがヒットした頃、私は子育てと仕事で我を忘れる程の日常の中で、なぜか記憶に残っている不思議な一曲です
加藤さんも3人の娘さんを育て7人の孫がおられるとのこと。最近は孫が成長して世話をやけなくなったことが淋しいと言われる。私には身近な存在になりました。
100万本のバラもロシアの曲ですよね。中島みゆきさんとの関係性に納得です
今さらですが「放浪楽人」にはまりつつあります。
(ターキーさん 60才代女性)
知床半島の事、加藤登紀子さんの事、また改めて知った部分もあり、目を丸くして読ませて頂きました。中学生の頃、愛唱歌集に載っている歌で、よく歌った覚えはありますが、その当時は、ただメロディーが綺麗だな、程度でした。今この年齢になって、歴史背景や厳しい自然との共存から生まれた歌だと思って聞くと、軽々しく歌えないような重みを感じます。この年齢になって学べた事に感謝です
このブログのおかげで、色々知らなかったことが、学べて嬉しいです。
これからも楽しみにしております。
(カンタービレさん 女性)
加藤登紀子さんのヒット曲に「この空を飛べたら」があります。これは中島みゆき作詞作曲で、ロシア民謡調です。加藤は中島の9歳上でデビューも9年早い。絶対に中島みゆきは加藤登紀子の影響を受けていると思います。
おときさんとみゆきさん二人の「ほろ酔いコンサート」があれば絶対に見に行く。10万円のチケットでも北海道であっても行く。空を飛んででも行く(笑)
(中年ジェットさん 60才代男性)
中年ジェットさんの思いに応えて、おときさんとみゆきさんの珍しいデュエット「この空を飛べたら」をお聴きください。 ↓下の画像をクリック、で再生がはじまります。
