有朋自遠方来 放浪楽人(さすらひのがくと)
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人生は旅。
知らない街を歩いてみたい
知らない海をながめていたい
どこか遠くへ行きたい
遠い街遠い海
夢はるか一人旅。
けれど、
遠くへ行かなくても旅はできます。
たとえば、
近所を散歩して知人に出会い
雑談するのも旅。
誰かに読んでもらいたくて、
こうやって文を綴るのも
私にとっては旅。
さて、どこまで放浪できるか ……

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歌謡曲と私C 〜あー懐かしのぼやき漫才・責任者出てこい?〜

彼らの鉄板ネタは、歌謡曲のタイトルや歌詞に難癖をつけることだった。例えば、美樹克彦の代表曲「俺の涙は俺がふく」に対して人生が言う、「当たり前やがな、何甘えとんねん!」奥村チヨの大ヒット曲「恋の奴隷」の歌詞「♪あなた好みの、あなた好みのお、おんなになりたーい〜〜♪」に対して人生は「そんなん言うて、お前の彼氏がSMマニアやったらどうすんねん!」と叫ぶ。伊東ゆかりの歌謡曲でのデビュー曲「小指の想い出」の歌詞「♪あなたが噛んだ小指が痛い 昨日の夜の小指が痛い♪」に対して人生は「若い男女が指を噛んだり噛まれたり、夜に何やっとんねん!」と怒鳴る。とまあこんな調子である。



「小指の想い出」(作詞 有馬三恵子)の歌詞について、上岡龍太郎(漫才コンビ ミキの叔父)は以前、「この歌の出だし、♪あなたが噛んだ小指が痛い昨日の夜の小指が痛い♪こんな衝撃的な歌詞をかつて聞いたことがない。なんというインパクト!もうこの歌詞を超えるものは二度と出で来ないであろう」と絶賛していたのを覚えている。

生恵が歌っている途中に「やかましい!」と人生が歌を止める。人生「まあここまでの歌詞はええわ。しかしその次が気に入らん!」生恵「えーどこがやのん。」人生「♪リンゴはなんにも言わないけれど♪?当たり前やないか、リンゴが夜中にしゃべりだしたら、果物屋のおっさん、やかまして寝てられへんがな!」

歌謡曲ネタで有名なこのコンビだが、実はそれだけではない。こんなネタもある。人生「ある男が自殺をしようとしてビルの屋上から飛び降りた。しかし間が悪いというか、下を歩いていた人にぶつかって、その結果歩いていた人が死んでしまい、飛び降りた男が生き残った。自殺男に他殺され、とはどういうことや!」生恵「何いうてんの、このドロガメ!」
人生「私が街を歩いていたら目の前で、ある女性が車にはねられて大けがをした。その車はよく見たら単車やった。人をけがさせといて、スクーター(救うた)とは、なめとんのか!」生恵「しょうもないダジャレをいうな、このヨダレクリ!」

生恵さん、見かけは上品で笑顔が愛くるしいのだが、まあ下品で意味のよく分からないツッコミを入れる。でもそれはそれで面白い。そして人生の決まり文句「責任者出てこい!」となる。生恵「そんなん言うて、ほんまに出てきゃあはったらどうすんの?」人生「その時は謝るがな!」生恵「謝んねんやったら最初からそんなこと言うな!」すると人生「母ちゃんゴメン!ゴメンチャイ!」と今までの赤鬼のような人相から、急にお茶目な顔になりユーモラスな仕草で謝る。このパターン、分かっていても何度見ても笑ってしまう、まさに名人芸。

このように昔の芸人さんは、その時代の世相や政治に対し、あくまでも庶民の視線で、笑いというオブラートに包んで批判した。庶民はそれを大笑いしながらも、共感し留飲を下げた。漫才・漫談・落語といったお笑いには本来「理不尽なものを糾弾し、強いものに反抗し、権力を持つものを揶揄する」といった側面があった。破天荒芸人・自己破滅型芸人と呼ばれた初代桂春団治や横山やすしも、あくまで彼らなりの価値観ではあるが、舞台の上で世相や政治を斬っていたという。
そういえば、人生幸朗のような「一般大衆に代わりもの申す」芸人を最近見なくなったのは、どうしてだろう。