有朋自遠方来 放浪楽人(さすらひのがくと)
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人生は旅。
知らない街を歩いてみたい
知らない海をながめていたい
どこか遠くへ行きたい
遠い街遠い海
夢はるか一人旅。
けれど、
遠くへ行かなくても旅はできます。
たとえば、
近所を散歩して知人に出会い
雑談するのも旅。
誰かに読んでもらいたくて、
こうやって文を綴るのも
私にとっては旅。
さて、どこまで放浪できるか ……
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042 2020年9月20日
あの人に会いに、遠くへ行きたい@〜
「うわぁ!素晴らしいロケーション!しかも爽やかな風。ナウシカになって下の谷まで飛んでいきたい!」
ここは奈良県五條市西吉野町。県下有数の柿の名産地で柿の葉寿司のふるさと。吉野川が流れる自然豊かで、南北朝と幕末の歴史の舞台になった町。
演技派俳優尾野真千子(西吉野を舞台にした川瀬監督の映画「萌の朱雀」でデビュー)を生んだ町。
先日、何気なく新聞をめくっていると、ある女性の写真に目がとまった。「見覚えのある顔だが、さて誰だっけ?」どうしても思い出せないので、記事を読むと、
【五條市西吉野町賀名生(あのう)の里を眼下に望む山の上。ぽつんと立つ黒壁の自宅に、岡本則子(おかもと のりこ)さんが定年を機に、「山里Cafe一本の樹」を開き来月で一周年】とあった。
「へぇーあの則ちゃんが自宅でCafeか?!」記事はさらに続く。
【カフェなどを開いて田舎暮らしを楽しむ年長者に影響を受け、田舎には可能性があると意識し、地域素材を生かす飲食のプロへの転身を決意した。
古来重宝される薬用植物「大和当帰(やまととうき)」の香りに魅せられ、葉を出汁や鶏肉
にたっぷり使った「大和当帰の鶏にゅうめん」を創作し高く評価された。このカフェいち押しのメニューになっている。】
岡本則子さんとは16年前に、とある場所で1年間共に研修をした、いわゆる「同じ釜の飯を食った仲間」だ。同い年ということもあり仲良くしてもらった。
則子さんと当時小学5年生の娘さんと私と私の友人で鳥取県の大山(だいせん 1729m)に登ったことも良い思い出だ。則子さんが頂上付近で、岩燕の群れを見つけて喜んでいたこともよく覚えている。
これを知ったからにはどうしても会いに行って、いろいろ話を聞いて、大和当帰の鶏にゅうめんを食べたいと思い立ち、新聞を見た1週間後に「山里Cafe一本の樹」を訪ねた。
西吉野町に入り、国道168号線から山道を車で5分登った所に、確かにぽつんと黒壁の家があった。車を降りると何処からか心地良い風が全身を包んでくれた。
マスクをしているから誰か分からないだろうな!もう10年も会っていないし。店を出るまで私の正体が分からなかったら、最後に名刺を渡してびっくりさせてやろう!
「こんにちは!」
「いらっしゃいませ!」(と突然私を指差し)「あーっ!ひょっとして放浪楽人さん?」
(びっくりして)「いいえ、人違いと違いますか?」(きょとんとする演技)
「いいえ!間違いなく、放浪楽人さんですよね!」
(マスクを外し)「よく覚えていてくれましたね!」
「マスクで口と鼻は隠れていても、目と眉毛に特徴あるし、その声その喋り方、すぐに分かりました。遠路はるばるようこそ来てくれました。」
「新聞記事を読んですぐ飛んできました!」
それから新たなお客さんがくるまで、昔のことや現在の互いの境遇についてひたすら話し込んだ。
私が注文したのはもちろん「大和当帰の鶏にゅうめん定食」(税込み千円)だ。
にゅうめんは出汁がよく効いていて、鶏肉は甘く程よい歯ごたえで、食べ飽きない、もう一杯食べても良いと思ってしまった。季節のご飯は赤米が入っていていろんな味や風味が楽しめる。
小鉢の豆腐はこの辺りの名産で、何もつけなくても美味しい。ゴーヤの松前漬けも箸休めにちょうどいい。
梅の酵素ジュースはまさに自然の味、体に良いことは飲んだらすぐ分かる。
料理を作る人の素材へのこだわり、素朴な味付けや見た目の工夫、何より客へのもてなしが伝わってくる。
則ちゃん、よく頑張ってる!
私の後から入って来られたお客さんは、私とほぼ同世代のYさんご夫妻で、やはり新聞記事を読んでこられたそうだ。則子さんと私はご夫妻とは初対面だが、すぐに打ち解けて話が弾んだ。山里に吹く風を感じながら周りの自然を満喫し、4人で語らいながら料理を楽しみ、ゆっくりと時間が過ぎていった。こういう過ごし方はまさに贅沢。
時々入ってくる虫も自然の中ではご愛敬。
Yさんが食べておられたのは、珍しい鹿肉入りのカレーライス。次回はこれを食べよう。
聞けばYさん夫妻は田原本町にお住まいとのこと。私が田原本吹奏楽団の打楽器奏者であると告げると、その偶然の出会いにお互い驚き、話はさらに深まっていった。
吹奏楽団の練習の様子や今後の演奏活動のこと、また、田原本町は文化を大切にする素敵な町であることなどを私から話すと、Yさんは、地元の名店や音楽ライブの情報などを教えてくださった。
Yさんご夫妻、いろいろとありがとうございました。楽しいひと時でした。田原本町でもいつかお会いできますことを楽しみにしています。
今回岡本則子さんと、ただ昔話に終始することなく、今もお互い元気で、退職後も現役時代とは違う道で頑張っている状況が共に確認でき、エールを交換出来たことをとても嬉しく思っている。
またの再開を固く約束して帰路についた。
その新聞記事は最後にこう締めている。
【南朝ゆかりの旧家などの家並み、柿畑や梅林、屈曲する丹生川の流れ。暮らしが溶け込んだ山村の眺めに、お客は「すごいね」と感嘆する。身近な風景が「財産」と気づいた。
次女で似顔絵作家のあやなさんと共に、金〜月の昼間営業。】
則ちゃん頑張れ、あやなちゃん頑張れ、
また会いに行きます!
あの人に会いに、遠くへ行きたい@〜
「山里 cafe 一本の樹」 岡本則子さん 〜
「うわぁ!素晴らしいロケーション!しかも爽やかな風。ナウシカになって下の谷まで飛んでいきたい!」
ここは奈良県五條市西吉野町。県下有数の柿の名産地で柿の葉寿司のふるさと。吉野川が流れる自然豊かで、南北朝と幕末の歴史の舞台になった町。
演技派俳優尾野真千子(西吉野を舞台にした川瀬監督の映画「萌の朱雀」でデビュー)を生んだ町。
先日、何気なく新聞をめくっていると、ある女性の写真に目がとまった。「見覚えのある顔だが、さて誰だっけ?」どうしても思い出せないので、記事を読むと、
【五條市西吉野町賀名生(あのう)の里を眼下に望む山の上。ぽつんと立つ黒壁の自宅に、岡本則子(おかもと のりこ)さんが定年を機に、「山里Cafe一本の樹」を開き来月で一周年】とあった。
「へぇーあの則ちゃんが自宅でCafeか?!」記事はさらに続く。
【カフェなどを開いて田舎暮らしを楽しむ年長者に影響を受け、田舎には可能性があると意識し、地域素材を生かす飲食のプロへの転身を決意した。
古来重宝される薬用植物「大和当帰(やまととうき)」の香りに魅せられ、葉を出汁や鶏肉
にたっぷり使った「大和当帰の鶏にゅうめん」を創作し高く評価された。このカフェいち押しのメニューになっている。】
岡本則子さんとは16年前に、とある場所で1年間共に研修をした、いわゆる「同じ釜の飯を食った仲間」だ。同い年ということもあり仲良くしてもらった。
則子さんと当時小学5年生の娘さんと私と私の友人で鳥取県の大山(だいせん 1729m)に登ったことも良い思い出だ。則子さんが頂上付近で、岩燕の群れを見つけて喜んでいたこともよく覚えている。
これを知ったからにはどうしても会いに行って、いろいろ話を聞いて、大和当帰の鶏にゅうめんを食べたいと思い立ち、新聞を見た1週間後に「山里Cafe一本の樹」を訪ねた。
西吉野町に入り、国道168号線から山道を車で5分登った所に、確かにぽつんと黒壁の家があった。車を降りると何処からか心地良い風が全身を包んでくれた。
マスクをしているから誰か分からないだろうな!もう10年も会っていないし。店を出るまで私の正体が分からなかったら、最後に名刺を渡してびっくりさせてやろう!
「こんにちは!」
「いらっしゃいませ!」(と突然私を指差し)「あーっ!ひょっとして放浪楽人さん?」
(びっくりして)「いいえ、人違いと違いますか?」(きょとんとする演技)
「いいえ!間違いなく、放浪楽人さんですよね!」
(マスクを外し)「よく覚えていてくれましたね!」
「マスクで口と鼻は隠れていても、目と眉毛に特徴あるし、その声その喋り方、すぐに分かりました。遠路はるばるようこそ来てくれました。」
「新聞記事を読んですぐ飛んできました!」
それから新たなお客さんがくるまで、昔のことや現在の互いの境遇についてひたすら話し込んだ。
私が注文したのはもちろん「大和当帰の鶏にゅうめん定食」(税込み千円)だ。
にゅうめんは出汁がよく効いていて、鶏肉は甘く程よい歯ごたえで、食べ飽きない、もう一杯食べても良いと思ってしまった。季節のご飯は赤米が入っていていろんな味や風味が楽しめる。
小鉢の豆腐はこの辺りの名産で、何もつけなくても美味しい。ゴーヤの松前漬けも箸休めにちょうどいい。
梅の酵素ジュースはまさに自然の味、体に良いことは飲んだらすぐ分かる。
料理を作る人の素材へのこだわり、素朴な味付けや見た目の工夫、何より客へのもてなしが伝わってくる。
則ちゃん、よく頑張ってる!
私の後から入って来られたお客さんは、私とほぼ同世代のYさんご夫妻で、やはり新聞記事を読んでこられたそうだ。則子さんと私はご夫妻とは初対面だが、すぐに打ち解けて話が弾んだ。山里に吹く風を感じながら周りの自然を満喫し、4人で語らいながら料理を楽しみ、ゆっくりと時間が過ぎていった。こういう過ごし方はまさに贅沢。
時々入ってくる虫も自然の中ではご愛敬。
Yさんが食べておられたのは、珍しい鹿肉入りのカレーライス。次回はこれを食べよう。
聞けばYさん夫妻は田原本町にお住まいとのこと。私が田原本吹奏楽団の打楽器奏者であると告げると、その偶然の出会いにお互い驚き、話はさらに深まっていった。
吹奏楽団の練習の様子や今後の演奏活動のこと、また、田原本町は文化を大切にする素敵な町であることなどを私から話すと、Yさんは、地元の名店や音楽ライブの情報などを教えてくださった。
Yさんご夫妻、いろいろとありがとうございました。楽しいひと時でした。田原本町でもいつかお会いできますことを楽しみにしています。
今回岡本則子さんと、ただ昔話に終始することなく、今もお互い元気で、退職後も現役時代とは違う道で頑張っている状況が共に確認でき、エールを交換出来たことをとても嬉しく思っている。
またの再開を固く約束して帰路についた。
その新聞記事は最後にこう締めている。
【南朝ゆかりの旧家などの家並み、柿畑や梅林、屈曲する丹生川の流れ。暮らしが溶け込んだ山村の眺めに、お客は「すごいね」と感嘆する。身近な風景が「財産」と気づいた。
次女で似顔絵作家のあやなさんと共に、金〜月の昼間営業。】
則ちゃん頑張れ、あやなちゃん頑張れ、
また会いに行きます!