ゴジラは怖い。神の火を盗んだ我々を罰しに来るのだから怖い。
                                        彼は繰り返し首都に向かい、権力の中枢を破壊しようとする。
                                        これが意味するところを噛みしめるべきである。






本文があまりにも殺伐としたものとなったので、映画に登場する「愛すべき警官・刑事たち」を思い出してみましょう。思いつくままのピック・アップです。





『警察日記』(1955)



子供の頃(まだ1960年になっていなかった、と思う)見た記憶がある。どこで見たのか、誰に連れて行ってもらったのか、一切覚えていないが、森繁久彌の演ずるお巡りさんが、とても子供に易しかった、という印象が強く記憶された。当時の大人たちは、子供のことなど眼中に無い感じだった。自分が生きるのに必死だったのだろう。


赤ん坊の襁褓(おしめ)を代える森繁さん。左は宍戸錠さん。まだ、ほっぺたは膨らんでいません。右は殿山泰司さん。


三國連太郎さん。ここではお巡りさんですから、土蔵破りをしたり、女の人に悪いことをしたり、殺したりはしません。





『あなただけ今晩は』(1963)

ビリー・ワイルダー、ジャック・レモン、シャーリー・マクレーンの組み合わせは、この映画の前にも『アパートの鍵貸します』を撮ってます。


ジャック・レモンはここでも、人の良すぎる凡庸な男を演じています。





『ファーゴ』(1996)年

コーエン・ブラザーズの映画は基本的にはリアリズムなのですが、私たちにの感覚にある常識的な日常とは微妙に異なる世界が描かれます。


フランシス・マクドーマンド演じる女署長。妊娠していて動作もゆっくりなのですが、なぜかスルスルと事件を解決してしまうのです。




『TAXi』(1998)

リュック・ベッソンが脚本に回ると、映画はなぜか軽快になるように感じます。


タクシー運転手のサミー・ナセリはスピード狂。警察官のフレデリック・ディーファンタルは間抜けでのろま。デビューしたてのマリオン・コティヤールの可愛かったこと。




『ホット・ファズ』(2007)

サイモン・ペグ、ニック・フロストのコンビは、これ以外にも、ゾンビ物、宇宙人物を撮ってます。


おきまりの下品なギャグ連発なのですが、これが奇妙に面白い。




 
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『改憲論』および『改憲論者』の徹底的批判 −− その8
                   平成28年11月24日



機動隊は国家権力の暴力装置 --- これが事の本質


 大阪府警の機動隊員が、沖縄・高江ヘリパッド建設に反対する人たちに向かって、土人、シナ人、と罵倒の言葉を浴びせかけた。その心理的根拠はどこにあるのか? 前回『その7』の最後でこう指摘した。

1、大阪府警が、「警備の対象者」を侮蔑し憎悪するように、機動隊員たちを教育・訓練した結果である。
2、暴力装置構成員としての教育・訓練なら、それは当たり前のことである。

 このように考えなければ、血縁的・地縁的関係もなく、何の遺恨も持ち合わせないはずの赤の他人にむかって、あの様な侮蔑と憎悪を噴出させることのできる理由が見当たらない。動画を再生したとき、私はあわてて音量を絞ったが、それでもあの罵声に含まれた侮蔑と憎悪の感情は耐えがたいものであった。その、同じ動画を観ての発言であるはずなのに、政治家どもは、確かに発言は不適切であったかもしれないが、とか、必ずしも差別的だとは断定できない、だとか語って平気である。感想を述べる、といったレベルである。発言内容の当否以前に、人間の感情表現に対する感応レベルの低さに驚かされるばかりだ。
 野党やジャーナリズムのモノの言い方も、この度しがたい与党政治家どもの水準を超えるものではない。侮蔑と憎悪を浴びせかけられた地域住民の無念を汲みとることも、動画の投稿者の思いに感応することもできない。だから、ヘリパッド建設の反対運動を、一連の出来事として傍観するのみで、運動が発信している思想性を読み取ることができない。我々が受け取るべきメッセージとはこれだ。

3、ヘリパッド建設に反対する住民たちによって、他府県から派遣された機動隊が、国家権力の暴力装置としての素性を暴かれた。

 突然「国家権力の暴力装置」などといった言葉が飛び出してきて、面食らう人もおられるだろう。しかし、自分が国家や地方自治体に対して「示威運動による異議申し立て」を行う立場に立ち、機動隊員たちの「警備の対象者」となった場合、この言葉の持つ意味は、理屈でなく、ひしひしと実感されるはずである。
 労働組合運動が盛んであった時代、あるいは反安保闘争やベトナム反戦運動など、政治的争点が先鋭化していた時代とは違って、昨今は「示威運動による異議申し立て」などすっかり下火になってしまったような印象がある。だが実際はどうか。確かに、かってのように、全国レベルのデモが連日繰り返されるというようなことは無くなったが、この沖縄の米軍基地にまつわる住民運動、各地の原発再稼働反対運動、昨年の『安全保障関連法案』強行採決時の国会前など、「示威運動による異議申し立て」は依然として行われている。
 ただし、それらの示威行動が何を訴求するものなのかという「思想」を、ジャーナリズム・マスコミは正しく伝えようとはしていない。政治権力に対する批判精神を失って久しいから、示威運動による異議申し立ての「精神」に感応することが出来ないのだ。「政治的無風状態」とはジャーナリズム・マスコミが作りだした幻想である。「示威運動による異議申し立て」は今日も実行されており、機動隊は「国家権力の暴力装置」としてその前に立ちふさがっている。

 では、大阪府警が機動隊員に行っている教育・訓練とはどのようなものなのか。
 まさか、使われている教科書などに、基地建設に反対する人たちを土人と呼べ、沖縄県民は日本人のふりををしているが実は支那人なのだ、などと書かれてはいないだろう。だが、機動隊員の教育の場や日常生活などで、陰に陽に、そのような会話が交わされていることは容易に想像できる。普段喋っていて実感と共に自分の語彙とした言葉でなければ、咄嗟の時に口を突いて出てくるわけが無い。そうでなければ、あの機動隊員二名は口寄せを行うイタコか霊能者だった、ということになる。
 この「予想される警備の対象者」を蔑視する汚い言葉の数々は、隊員たちの間で何度も繰り返されるうちに、「予想される警備の対象者」を「仮想敵」とみなす憎悪を育み、最終的には組織を支配する共同幻想へと増殖する。そして集団的イジメ行動に加わることの出来なかった隊員は、今度は「内部の敵」として孤立させられ、新たなイジメの対象に仕立て上げられる。
 ネットで「機動隊」とか「警察学校」とかを検索してみると、機動隊員の自殺を報じるニュースが多いことに気付かされる。一例として、昨年の兵庫県警の場合を取り上げよう。



兵庫県警の場合


〔標題〕20代警官相次ぎ自殺図り、1人死亡1人重体 兵庫県警
〔本分〕兵庫県警機動隊に所属する20代の男性巡査2人が先月末〜今月初旬、同じ独身寮で相次いで自殺を図り、1人が死亡、1人が意識不明の重体になっていることが15日、県警への取材で分かった。いずれも遺書のようなメモがあり、1人は上司や先輩とのやり取りを記していたという。県警は2人の自殺の背景や組織内でのトラブルの有無などを調べている。
 県警によると、先月28日夜、神戸市須磨区にある機動隊の寮の個室で、隊員の巡査(23)が自殺を図っているのが見つかり、翌29日未明に搬送先の病院で死亡した。さらに、8日後の今月6日昼には、別の巡査(24)が自殺を図っているのが見つかり、現在も意識不明の重体という。
 寮では約80人が生活しており、2人は機動隊内の同じ小隊に所属していた。小隊は隊長を含む22人で構成され、県警は隊員への事情聴取を進めている。

  産経WEST(2015.10.15)
  http://www.sankei.com/west/news/151015/wst1510150042-n1.html

 この28日に自殺を図った隊員に関しては、週刊朝日が詳細を記事にしている。(2015年11月20日号) 
 『LivedoorNEWS』からの "孫引き" になるが、その一部を引用しておく。
  http://news.livedoor.com/article/detail/10815916/

 まず、隊員の母親の証言を聞こう。隊員の名前はSさんとしておく。

 Sの夢は将来、捜査一課の刑事になることでした。竹を割ったような、曲がったことの嫌いな性格で、人のために尽くしたいと願っていた。小、中、高と剣道を続け、3段の腕前。高校を卒業後、兵庫県警の採用試験に合格。灘署に配属された。灘署では褒賞をいただくほどで、仕事にやりがいを感じている様子でした。ところが、今年3月に機動隊に転属となってから『病みそうや』と悩みを口にするようになったんです。
 Sさんが9月初めに実家に帰ってきたとき、「機動隊では何を聞いても無視されるねん。教えてもくれないのに、おれだけしょっちゅう怒られる」と話したという。独身寮の裏側はグラウンドで生活と訓練が一体になっていた。『指導』という名のもとにいじめがあったのではないでしょうか。Sのスマホには、お尻を出して割り箸をはさむ一発芸をやっている男性の写真が残っていた。機動隊の悪ふざけに近いノリで、何でも強制的にやらされて、拷問みたいな日々だったのではないでしょうか。
 Sが自殺したのは、県警機動隊内部のいじめや嫌がらせにあったからです。Sが残した遺書や交際していた彼女へのラインにハッキリ書いてありました。


 次に、証言の最後にある「彼女」(Aさん)とのラインのやりとりを引用する。死亡当日の朝のやりとりである。

S「これ以上マルキ(機動隊のこと)には耐えられん。死にたい。この世から本当に消えたいと思えるくらいつらい」(午前10時44分)
A「あたしを置いていなくなったらあかん。それはずーっというてるやん」(同)
S「やから朝からずぅーと自殺したいとか考えてまうんよ。今日だってそうやし、この前もいろんなこと言われてこれ以上耐えられん。ずっと死にたいことしか考えられん。やから今日休みもらった」(同)
A「そんなんして誰か喜ぶん? お母さんはおじいちゃんは弟は皆悲しむよ。そんなんなるんならお仕事やめていい。あたしがSちゃんの面倒みる。いっぱい働くから」(午前10時45分)
 

 Aさんは、Sさんとの最後の電話のやりとりを語っている。

「Sちゃんは『今な、首吊ったんやけど、5秒くらいしたら意識がなくなってな、気づいたら床に倒れてた。ひも切れたんやわ。このロープ太くしたらもう一回できるかもしれへん』と言って泣いてました。私は仕事中だったから『そんなことしたらあかん。またすぐに連絡するから待っててな』と言って、電話切ってすぐにライン出したけど、もう連絡が取れなくなった」

 痛ましいこと、この上ない。
 Sさんの遺書には「機動隊に異動してから半年、先輩の嫌がらせや上司からのウソつき呼ばわりには精神的に限界です」という言葉に加えて、嫌がらせをした三名の名前が書かれていていた。監察官は「これから、関係者86人に事情聴取し、真相を明らかにします」と言っていたにもかかわらず、その後「Sさんは職場を変わりたがっていた」ので悩んでいたらしいと、問題点がすり替えられたいたという。

 もう少し詳しい事を知りたいと思って検索してみても、ヒットするのは、機動隊における教育・訓練のあり方を擁護する記事がほとんどである。それらには共通する口調がある。機動隊を辞めたり、警察学校から離脱したり、自殺してしまった隊員たちに対して、「警察学校の訓練は厳しくて当然である、ついて行けなかった本人の資質の問題である」とか「つまりは落伍者、ヘタレである」とか言ってはばからない。まさに、死者に唾するものたちなのだ。
 だが、訓練中に隊員を殺してしまった埼玉県警の例もある。『週刊金曜日ニュース』(2015年8月6日)の記事をそのままコピペさせていただく。


埼玉県警の場合


 水深3メートルのプールの底まで繰り返し力ずくで沈め、動かなくなると引き上げて放置する。殺人、または拷問死というほかない残虐な事件が埼玉県警で起きた。
 埼玉県警機動隊「水難救助隊」の新人隊員・佐々木俊一巡査(享年26)は、2012年6月29日、朝霞市の機動隊のプールで潜水「訓練」中、溺死した。遺族の調査で浮かんできたのは、「訓練」に名を借りたリンチだった。
 俊一さんは機動隊員の暴行によって死亡したとして、母・千春さんら遺族が、今年6月28日、埼玉県や救難救助隊の巡査、巡査部長、警部補ら4人を相手取り、総額約1億9000万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟をさいたま地方裁判所に起こした。
 「真相を知りたい。被告の警察官たちには正直な話をしてほしい」
 翌29日、命日に開いた記者会見で遺族は涙ながらに語った。
 遺族や弁護団(野本夏生弁護団長)によれば、主に警察から聞き取った事実をもとに判明した経緯は次のとおりである。

 12年6月29日午後4時ごろ、基礎訓練に続き、「完装泳法」の訓練に移った。空気ボンベ、シュノーケル、足ヒレなど重量38キロの装備を身につけたまま、ボンベの空気を使わずシュノーケル呼吸のみで、潜ったり立ち泳ぎをする訓練だ。
 俊一さんは変形性膝関節症で足が痛かった。訓練開始からまもなく、プールの浅い部分(水深1・2メートル)に移って足をつき、訓練中止を申し出た。痛みのせいで立ち泳ぎが続けられない。
 だが、指揮官のI巡査部長は訓練続行を命じた。俊一さんはやむなく泳ぎ続けた。しかし、やはり痛い。とうとうプール内壁に取り付けられたはしごをつかんだ。そして中止させてほしいと訴えた。
 するとプールサイドにいたN巡査部長が、俊一さんの顔を足で何度も踏み「佐々木、つかむんじゃねえよ」と怒鳴った。そして、「無理です」と繰り返す俊一さんを力ずくではしごから引きはがした。俊一さんはパニック状態に陥った。
 続いて、水に入っていた指導員のW巡査が俊一さんをプールの深い部分に連れていき、背後から両肩に手を置き、体重をかけて水深3メートルの底まで沈めた。5、6秒かけて浮いてくるとまた同じ要領で沈めた。I巡査部長の指示だった。
 俊一さんは水中メガネとシュノーケルを顔に着けたままはずすことは許されなかった。シュノーケルの管内や水中メガネの中に水が入り、呼吸ができなかったとみられる。
 4回ほど沈められた結果、俊一さんは水中で動かなくなった。すると、そのまま10秒ほど放置され、ようやくプールサイドに引き上げられた。呼吸や心拍の確認はしなかった。人工呼吸もしていない。そればかりか「死んだふりか」などと言って往復びんたをした隊員もいた――。
 119番通報は引き上げから8分後。俊一さんは病院に運ばれたが死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は溺死。両肺に大量の水が入ったままだった。

【私的制裁の疑い】
 埼玉県警によれば、繰り返し沈めた行為は、ボンベの空気が吸えなくなった場合の対処法を学ぶ訓練だったという。しかしI巡査部長は、事前に「佐々木をやりますよ」と不穏当な発言をしており、私的な制裁だった疑いは濃厚だ。
 現在、W巡査が業務上過失致死罪で起訴されている。
 もともと俊一さんは東入間署の地域課に所属し、交番勤務を主な仕事としていた。運動は苦手。水に潜って遊んだ経験もない。機動隊への異動を告げられたのは12年3月。自ら希望したわけではなく、とまどっていた。遺族によれば、訓練は辛そうだった。膝も機動隊に入ってから負傷した。事件直前には「死ぬかもしれない」と漏らしていた。意識を失ったこともあった。そして、辞めたい旨上司に相談していたという。辞意を伝えたことに対する見せしめ的な報復の可能性はある。(三宅勝久・ジャーナリスト、7月24日号)

  http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=5384


とりあえずの、まとめ


 ウンザリさせられるほどイヤな記事ばかりなので、引用はこの程度に止める。自分がわざと「扇情的」な記事を書いているような気分になってしまう。でも一度「警察学校 イジメ」で検索していただきたい。その記事を数本読めば、なるほど、大阪府警の機動隊員があの「暴言」を吐いたのは当然のことだ、と実感できる。
 隊員たちに注入されている「教育・訓練」とは次のようにまとめて良いだろう。

1、シゴキ・イジメによる徹底的な人間性破壊。
2、そこから発生する憎悪を、「警備の対象である仮想敵」と「脱落者」に振り向ける。
3、率先して「仮想敵」と「脱落者」を侮蔑する側に与しなければ、機動隊という組織で生き残ることは出来ない。
4、人間性破壊を破壊され、判断能力を失った隊員は、上司の指示・命令に絶対的に服従するようになる。
5、人間性破壊を破壊され、判断能力を失った隊員は、「仮想敵」に暴力と暴言で立ち向かうことが出来るようになる。
6、そして警備の現場で、彼らは自らの存在意義を確認しようとする。これが彼らの暴行・暴言の正体である。
 


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 −−【その8】了−− 『改憲論』と『改憲論者』の徹底的批判 目次へ