ゴジラは怖い。神の火を盗んだ我々を罰しに来るのだから怖い。
                                        彼は繰り返し首都に向かい、権力の中枢を破壊しようとする。
                                        これが意味するところを噛みしめるべきである。






















































































































































































































































































































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管が辞めれば株価が上がる。
 ―― 管義偉よ、“辞めたら済み” と思うな! その1
                     2021/09/07



 菅義偉が “もう、オレ、辞める” と漏らしたとたん、日経平均株価が 500円も上昇した。

 最初これを聞いたとき、悪い冗談だろう、と思った。だが、本当だった。
 現政権が崩壊するというニュースで株価が大幅に上昇するなんて、前代未聞のことではなかろうか。


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 実際の株価の動きを確認しておこう。
 管が今月に予定されている党総裁選に立候補しないことを表明したのは、9月3日午前の自民党役員会であった。たちまち各方面にリークされたに相違ない。
 11時50分、閣議の後、記者団に捕まったのは河野太郎。その正否を糾されて河野は、「(首相)本人に確認したいと思う」と答えた。つまり、菅の辞任を否定しなかったわけだ。
 正午を過ぎる頃、与野党の政治家が次々と談話を発表。その時点での株価の動きがコレ。
 確かに、3日(金)12:00から、株価は 500円近く急上昇している。




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 大手メディアはあわただしい「政変」の動きを伝えることに執心して、株価の動きは大々的に報じていないようだが、時事通信はキッチリ次のように伝えている。



 記者は遠慮なく菅義偉首相の自民党総裁選への不出馬を好感して株価が急伸し、」「菅不出馬が伝わると、午後に急加速した。と書いている。
 笑っていいのか、それとも、失望すべきなのか?


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 海外メデイアはもっと辛辣である。ロイター通信のコラムはこう書いている。(記者は田巻一彦氏。ロイター・シニアエディターである。)



 菅の退陣表明が「株買い材料」である、と断言している。
 その後、自民党総裁選と衆院選までは、「新政権と大規模な経済対策への期待感から」株価は上昇するだろう、と予測。
 だがその後、「米欧と比べて見劣りする経済成長力を復元する政策が打ち出され、長期停滞トレンドを大きく変えるような政治力が発揮されないのであれば、誰が次の首相になっても長期閉塞から脱却できないだろう。」と続ける。きわめて遠慮がちに書かれているが、実は「誰が次の首相になっても、長期停滞トレンドを大きく変えるような政治力が発揮されることはないだろう。だから、株価は再び下がる」と言外で述べているわけだ。

 この記事は政局がどう動くかを論じた政治記事ではない。あくまで株式市況の見通しを述べたものである。だが、菅の辞任表明の後、自民党の政治家どもがどのように動くかを、的確に見抜いている。株式のアナリストは、現政権の政治家たちの実務能力について、何の幻想も抱いていないようである。株価は、投資家の「民意」を、正直に、ストレートに表現している。


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 菅義偉本人の「言い分」を確かめておこう。
 3日の午後1時6分、菅は首相官邸で記者会見に応じ、次のように述べた。
 ニュースで何度も放映されたはずだが、朝日デジタルが文章化したものをそのままコピーする。

 先ほど開かれました自民党役員会において、私自身、新型コロナ対策に専任をしたい、そういう思いの中で自民党総裁選挙には出馬をしない、こうしたことを申し上げました。総理大臣になってから、1年間、まさに新型コロナ対策を中心とする、この様々な国が抱える問題について、全力で取り組んできました。そして今月17日から自民党の総裁選挙が始まることになっております。私自身、出馬を予定する中で、このコロナ対策と選挙活動、こうしたことを考えたときに、実際、莫大(ばくだい)なエネルギーがこれ必要でありました。そういう中でやはり両立はできない、どちらかを選択すべきである。国民の皆さんにお約束を何回もしてます新型コロナウイルス、この感染拡大を防止するために私は専任をしたい。そういう判断をいたしました。国民の皆さんの命と暮らしを守る内閣総理大臣として、私の責務でありますので、専任をしてここをやり遂げたい、このように思います。また来週にでも改めて記者会見をしたい、このように思います。以上です。

 ニュースサイトにある動画を見る限り、管は珍しく、原稿を読まずに記者団に向かって喋っているように見える。原稿の棒読み、取り違え、すっ飛ばし、でさんざん批判されてきた訳だが、自分の言葉で喋ったのが「辞任会見」であった、とはまことに皮肉な光景である。

 だが、時間にしてたったの1分50秒弱。
 質疑応答一切なし。
 それが、一国の最高責任者の辞任の弁であり得ようか?


 菅は「 …… 以上です。」と喋り終えると、クルリと背を向け、記者団の発する質問の声(それは、ほとんど怒号に近い)を完全に無視して立ち去ってしまった。

 嗚呼、この爺ぃ、何も分かっちゃいない。
 話し相手の人格を無視したそのやり方こそ、さんざんの批判を浴び、それでもその無礼千万を改めなかったことで多くの人々の反発を買い、結局は窮地に立たされたのではなかったか!


 去る者をさらに叩くのは礼儀に反する。
 だが、こんな風に、ふて腐れて、まるで「すねた子供」のように振る舞うのなら、我々は許しはしない。
 追いかけて、追いかけて、それでも顔を背けるのなら、こちらから回り込んで、糾すべきは糾しておこうじゃないか。

 まず、この辞任の弁。まったく辻褄が合わない話である。

 「まさに新型コロナ対策を中心とする、この様々な国が抱える問題について、全力で取り組んできました」だと?

 「実際、莫大(ばくだい)なエネルギーがこれ必要でありました。」だと?

 いったい、どんな取り組みに莫大なエネルギーをつぎ込んだ、と言うのか?
 逐一、点検してゆこうではないか。



  @ncopsi





  @ncopsi



 菅義秀の似顔絵は『イラストしごと にぎりこぷし』さんのサイトからいただきました。感謝   


  −−管が辞めれば株価が上がる。
       ―― 管義偉よ、“辞めたら済み”と思うな! その1 了−− 


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