難波駅を出た電車がわずかに右にカーヴすると、つり革に掴まっていた男たちは一斉に右側の窓から外を見やった。
 ほんの一瞬、大阪球場のスコアボールドが見えるからだ。
 私の家は球場から1キロ以上も離れていたが、物干し場にあがると、観客のあげる歓声が風に乗って流れてきた。
 確かに昭和のある時代まで、私たちは「自分の五感で直接」社会の動きを感じとっていたのだ。                           








映画『コンテイジョン』
"Contagion"
(2011;Steven Soderbergh)










監督;
スティーブン・ソダーバーグ

多作でしかも良質。
昔スコセッシ、今ソダーバーグ、てな感じ。









脚本;
スコット・Z・バーンズ

マット・デイモンとの相性が良いみたいですね。
後ろから見れば、監督と見分けがつかないのでは。頭頂部のトンガリ具合までソックリ。









グウィネス・パルトロー
最初の感染者の一人。
ファーストシーン。
元彼と喋ってます。



『恋におちたシェイクスピア』は良かったなぁ。
でも『コンテイジョン』を観ていると『セブン』を思い出してしまう。その理由をここでペラペラ述べるほど私は無神経ではない。









マット・デイモン
グウィネスさんのご主人。



『ボーン・アイデンティティー』ではタフな役柄だったけれど、この人、記憶を喪失したり、火星や木星の彼方に置き去りにされたりで、何度もさんざんな目に遭ってます。









ローレンス・フィッシュバーン
CDCの医師長みたいな存在。



『マトリックス』のモーフィアスである。
彼が上司である限り、ミッションは最後には必ず勝利する、みたいな安心感があります。









ケイト・ウィンスレット
有能な探偵のような医師である。



ご存じ、『タイタニック』のローズ。
タイタニックでは、わがままいっぱいに振る舞って生き延びた。
だが、今回は、必死の活躍にも関わらず ……









マリオン・コティヤール
WHOの職員。
香港まで出向いて感染源を突き止めるのですが ……



町山智浩さんが公開時のコメントで、WHOにこんな別嬪いてるわけないでしょ、と笑っていました。
今では大女優ですが、私はデビュー当初の『TAXi』リリー役が忘れられません。









ジュード・ロウ
悪いブロガー役をやってます。



『アルフィー』ではイギリスのアラン・ドロンみたいな超男前役でしたが、今や名優ですね。















     ページの上段へ

この国を守りぬく、なんて言ったのは誰だった?
  『コロナ・パンデミックから何を学ぶか?』 その3
                   (2020年05月16日)


政治家たちの無能化フェイズ、現段階


 政府首脳や国会議員たちの“無能”は今に始まったことではない。ゆっくりと時間をかけ、しかし着実に、彼らは無能化フェイズを更新して現在に至っている。感染症の世界的拡大というテーマに対してなら、こうだ。

1;〔問い〕感染症パンデミックは予想されていたのか?
 〔答え〕予想されていた。(当たり前だ ! )


 わが日本を含むアジア諸国は、コレラを初めとする消化器系伝染病の蔓延を何度も経験している。今世紀に入ってからは、サーズ(2002)・新型インフルエンザ(2009)・マーズ(2012)などの発生と流行があった。エボラ出血熱はすでに前世紀末から発生していて、スーダン・ザイール(1976)に始まり、たびたび各地で発生を繰りかえし、西アフリカ広域でパンデミック(2014)となった。これらの、あるいはさらに新種の感染症が、一世紀前のスペイン風邪パンデミック(1918〜)レベルの全世界的感染拡大にならないという根拠はどこにもなかった。
 しかし、日本の政治家どもは、中国漁船の体当たりや北朝鮮のミサイル発射には(さらに“高齢化”までに)、あれほど危機感を煽りたて、『全国瞬時警報システム』(“Jアラート”なんだって。いい加減《アルファベット+カタカナ》の新製品売り出し風造語は止めにしてほしい)まで作動させてみせたのに、彼らが感染症の恐怖に関して真剣に議論している姿には、一度もお目にかかったことはない。

2;〔問い〕これらの危機に対する警告はなかったのか?
 〔答え〕多方面からたびたび警告と具体案の提示があった。(当たり前だ !! )


 今回は、専門家、つまり感染症や医療関係者の意見はさておいて、全くの門外漢、畑違いの人からの警告と具体案の提言を2件とりあげる。
 おそらく、この2本、政府や議員のオヤジどもは観ていないだろう。いや、観ても理解できなかっただろう、“無能”なんだから。なんせ、安倍君は百田某のゾッキ本で歴史を勉強するらしいし、麻生君はコミックしか読まない。橋下君はライオンキングに大感激して、文楽や交響楽団もこれを見習えなどと公言してはばからない。そんな人たちは、字幕付き洋物なんぞには、何の興味も持っていないだろう。

3;〔問い〕パンデミックが現実になったとき、迅速・的確な対応をしたか?
 〔答え〕対岸の火事 → 楽観的見通し → "やってます感" → そのうち神風が吹くだろう


 日本の政治家どもの対応は、この4段階で言い尽くされる。さんざん指摘されていることだから、いまさら私がまとめる必要もないだろう。
 先日、わが安倍君は某動画サイトに出演したらしいが、アッという間に画面は書き込みで埋まってしまった。サイトの運営側が、消去しても、消去しても、瞬く間に新たな書き込みが追加される。もはや理屈で無能の指摘する段階は終わっていて、揶揄・皮肉・罵詈雑言を投げつけるしかないレベルに堕ちたことの象徴であるように思える。私もちょっとのぞいてみたので、画面のキャプチャーをコピーしておく。
 左は、動画開始時の画面を「書き込み非表示」にしたもの、
 右は、開始1秒後を「書き込み表示」にしたものである。



 これ以上“無能”をあげつらっても仕方がないので、サッサと止めて、賢者の提言に耳を傾けよう。発信者は、2件とも、医療関係以外の人たちである。

 一つ目は、ハリウッド映画(2011年)、
 二つ目は、ビル・ゲイツの講演(2015年)。



2011年公開 映画『コンテイジョン』


 コロナウィルスによる新型肺炎の流行がパンデミックの様相を帯びはじめて以来、まるで今の状況を予言しているみたいだ、とにわかに脚光を浴びている映画がある。

『コンテイジョン』スティーヴン・ソダーバーグ監督
 (2011;Contagion;Steven Soderbergh)


 この映画、主演級のスターをズラリと並べたハリウッド映画であるが、日本公開時にはあまり評判にならなかったように記憶する。だって、公開は2011年の11月。大震災・原発事故の直後である。現実がパニック状態なのに、そんな時に、選りに選ってパニック映画かよ、というのが大衆の正直な実感だったのだろう。
 余談はさておき、まずは予告編(日本語版)を観てください。




 今、新聞紙面やテレビ番組は、コロナ・ウイルスの記事・報道であふれかえっていると思う。我が家では新聞を購読していないし、テレビを観る習慣もないので、想像するだけなのだが、記事・報道のほとんどが、公表された数字の羅列、根拠の希薄な楽観的見通し、他者に対する恐怖感・不潔感を煽るだけの断片的エピソード、で埋め尽くされていると想像する。
 この映画は違う。自分や自分の家族が感染すればどうなるのか、感染者の治療にあたっている人たち、感染拡大と闘っている人たちは、具体的にどのような困難に直面しているのか、デマや集団的恐怖はどのように伝播し、無自覚な大衆を“衆愚”に貶めるのか、が克明に描かれている。映画は映画であり、 100% 現実とリンクする訳ではない。だが、日常的惰性のなかでマス・メディアに浪費する時間があるのなら、ぜひこの映画をご覧になってください。パンデミックとはどういう現実のことなのか、が実感できます。
 ビデオのレンタル屋さんでは、旧作扱いになっているから、 100円で借りることが出来るはずです。時節がら、動画配信のサイトでも見ることができるかもしれません。


蛇足を承知で、


 蛇足を承知で、少しだけ解説を加えておく。
 パニック映画である。ただし人々を恐怖に陥れるのは、ビル火災でも、客船の沈没でも、火山の噴火でも、テロによる無差別爆破でもない。スペクタクルなシーンは無いし、大活躍するタフガイやスーパー・ウーマンも登場しない。そういう視点から見ればいたって地味な映画である。だが、とても怖い。新たに発生した感染症が恐怖の源なのだが、それがとてつもなく恐ろしい。と同時に、映画で描かれる惨状が、現在進行しているコロナ・パンデミックに、そっくりそのままであるのがさらに恐ろしい。

 恐怖は、まだ最初の画面がフェード・インする前から始まる。雑踏のざわめきのなか、小さな咳き込みが聞こえる。画面が明るくなる。咳の主はグウィネス・パルトロー。カウンターでピーナッツかなんかをつまんでいるが、心なしか気だるい感じ。携帯に着信。表示を見て彼女は微笑む。その会話から、乗り継ぎ時間の合間に“元彼”と逢瀬を楽しんできたことが分かる。再び彼女は咳き込む。時差ぼけで疲れただけ、と彼女は言い訳をし、元彼は、香港からは長旅だから、と気遣う。そのとき出発便のアナウンスがあり、通話は終わる。彼女はクレジット・カードを差し出す。受け取った店員さんは、キャッシャーのタッチパネルをタップし、カードをスキャンする。
 カメラはグウィネス・パルトローのバスト・ショットのまま。カードが手渡されてからは、それを受け取った店員さんの手の動きを大写しで追う。映画開始からわずか2分あまりで、この映画は、感染症がどんな風にして拡散していくのかという恐怖を観客に悟らせる。淀長さんだったら、こわいですねぇ、こわいですねぇ、と繰りかえすだろう。


脚本家が徹底的にリサーチした アメリカ "CDC"


 この見事な脚本を書いたのは、スコット・Z・バーンズ
 “Newsweek”(3.31-p.55)に、彼のインタビュー記事が掲載されている。その文面が、そっくり“Newsweek”のホーム・ページに転載されているので、そちらも読んでください。
  https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2020/04/post-360.php

 娯楽映画に違いないのだが、スコット・Z・バーンズは、執筆にあたり「パンデミックについて徹底的にリサーチした」と言う。彼が最初に強調するのは次の点である。

 私が取材した科学者たちはそろって、こうした事態が起きるのは時間の問題だと言っていた …… 科学者の言うことは聞くものだ。

 インタビュアー(『スレート』誌 映画担当サム・アダムズ)は、だが「トランプ政権では、科学者の意見が通らない状況が続いていた」が、と問いかける。バーンズはこう返答する。

 (トランプ政権下では)優れた公衆衛生の専門家に対応の指揮を任せていないこと、十分な数の検査キットがないこと、さらにはパンデミックに対する政府の事前対策チームがどういうわけか解散させられていた。 …… 今の政権そして共和党は、壁を築いて国民を守る話はするが、十分な数の検査キットさえ作れない。それがこの国の現状だ。

 このトランプ政権批判は、そっくりそのまま、我が安倍政府批判にも当てはまるように思える。
 だが、アメリカが決定的に日本と違うところがある。
 アメリカには “CDC”(アメリカ疾病予防管理センター)という組織があって、パンデミック対応は、この “CDC”が中軸となって動くのである。

 トランプ氏は、アメリカには “CDC”という世界最強の感染症対策組織がある、だからアメリカは大丈夫、とたびたび豪語していた。では、 “CDC”とは、どの程度の規模の組織なのか? ちょっと調べてみた。

  設立 ;1945年
  職員数;(本部) 7,000人
     ;(支部) 8,500人
  予算 ;(2019年度)73億ドル($1=\110として、8,030億円)

 とても巨大な組織ですね。事実、映画『コンテイジョン』の基軸は この“CDC”(アメリカ疾病予防管理センター)の行動を追うところにある。彼は “CDC”の人たちの働きを「みんな本当に素晴らしかった。消防隊員が職務に命を懸けている姿を見るのと同じ印象だった」と賞賛する。
 しかし、これほどの組織をもってしても、アメリカではあれほどの感染拡大となったのである。

 だが、日本には、この “CDC”に相当する組織すらないのだ。
 これについて語る前に、第2の提言を聞こう。


ビル・ゲイツの “TED” 講演(2015年)


 ニューヨークに“TED”(Technology Entertainment Design)という組織がある。毎年バンクーバーで講演会を実施しているが、2015年、ビル・ゲイツが『もし次の疫病大流行(アウトブレイク)が来たら? 私たちの準備はまだ出来ていない』という講演を行った。これは素晴らしい講演である。 “TED”のHPにはその動画が置いてあって、すでに 34百万回以上視聴されている。 “You Tube”にも転載されているので、そちらの方を埋め込んでおく。ぜひ聴いて頂きたい。画面下の字幕ボタンを"ON"にしてね。



 この講演を「現在のコロナ・パンデミックを5年前に予言している」と紹介している例が多いが、それは正しい表現ではない。ビル・ゲイツは予言者ではない。彼が講演で述べていることは、次の二つである。

1、現代における世界的危機とは何か?
2、その危機に対応するため、我々は具体的に何をすべきか?


ビル・ゲイツの提言を熟読玩味しよう。


 その各々に関し、ビル・ゲイツの講演の一部を、そのまま引用しておく。

1、現代における世界的危機とは何か?



 いま最大の世界的危機はこんな姿(写真左)はしておらず、代わりにそれはこのようなもの(写真右)でしょう。もし1千万人以上の人々が次の数十年で亡くなるような災害があるとすれば、それは戦争というよりは、むしろ感染性の高いウイルスが原因の可能性が大いにあります。ミサイルではなく、微生物なのです。その理由の一つは、これまで私たちは核の抑制に巨額の費用をつぎ込みましたが、疫病の抑制システムの創出については殆ど何もやって来ていない事です。よって、私たちは次の疫病の蔓延への準備が出来ていないのです。

2、その危機に対応するため、我々は具体的に何をすべきか?

 第一に貧しい国々にしっかりとした病院・健康保証システムがある事。母親が安全に出産できて、子どもたちが必要なワクチンを全て受けられるような仕組みです。アウトブレイクの初期の兆候も、そこで把握出来ます。

 次に医療従事者達の待機部隊が必要です。医療に携わるよう訓練され、経験のある、いつでも招集に応じられる、専門知識のある人々です。

 そして、彼らを軍隊と連携させます。軍隊の機動力を利用し、物流を確保し、感染地の隔離等を素早く行えるようにです。戦争ではなく、細菌の拡大シミュレーションをして、対策の為に欠けている要素をあぶり出すのです。前回アメリカで細菌シミュレーションが行われた際は、2001年でしたが、良い結果ではありませんでした。細菌との戦いは、今のところ人類の負けです。

 最後にワクチンや診断の分野での研究開発がもっと必要です。例えばアデノウイルス系ワクチンのように、非常に速く効く、目覚ましいブレークスルーもあります。



現実の恐怖に向きあう人が、現代における賢者


 スティーヴン・ソダーバーグとスコット・Z・バーンズは、2009年の新型インフルエンザの恐怖を、生々しい記憶として保持していた。だから『コンテイジョン』の制作にあたって、「パンデミックについて徹底的にリサーチした」。特に、"CDC" などで働く人たちの努力を目の当たりにして「みんな本当に素晴らしかった。消防隊員が職務に命を懸けている姿を見るのと同じ印象だった」と感銘を受けた。だから、その努力を台無しにしてしまう政権の無知と謀略に憤りを覚える。その結果、映画は、娯楽映画として作られながら、それ以上のメッセージを発信する作品へと昇華したのである。

 ビル・ゲイツの念頭にあったのは、彼が述べている通り、2014年の西アフリカにおけるエボラ出血熱パンデミックである。現地では、彼らが創造し世界的標準としたデーター通信やデータ処理のシステムが使用されたのであるが、それが十分に活用されて威力を発揮することが出来なかった、と彼は総括している。それは、ビル・ゲイツらの《責任》ではないはずなのだが、彼はそこから考えることを始めたのである。その思考の結果を見事にまとめてみせた。わずか10分弱だが、多くのものが凝縮されている。その論旨は繰りかえし熟読玩味されるべきである。


愚者は国賊になりはてる


 それに引き替え、我が国の政治家どもの為体(ていたらく)は、何と言うべきか?
 2009年の新型インフルエンザ流行の経験から、多くの国々が "CDC"のような組織を造ろうとした。日本においても同様の動きがあったが、その機運はいつの間にか霧散させられてしまう。だが、2012年の年の瀬に成立した安倍第2次内閣は、その鬼子のような組織を作り上げる。
 内閣成立のわずか6ヶ月後、2013年6月、内閣府は「日本再興戦略」を決定し、その一環として『国立研究開発法人 日本医療研究開発機構』なるものを設立しようとする。一体、何を狙ってか? 
 我々国民には、何をするところかサッパリ分からないのだが、安倍君らが嬉々として造ろうとする組織には、次の2つの狙いがあるとみて間違いないのだ。

1、高級官僚や退役国会議員たちの天下り・再就職先を確保する。原子力村の諸組織の存在意義と同じ。これはつまり、内閣への支持を得るための“飴”である。

2、その見返りとして、各省庁に対する、予算面・人事面での内閣の優位性を確保する。これはつまり、お前たちの思うようにカネは使わせないぞという“鞭”である。


 それが証拠に、日本生化学会・日本分子生物学会・日本免疫学会・日本癌学会・日本神経科学学会・日本細胞生物学会・日本ウイルス学会、などは、『日本医療研究開発機構』が出来れば「基礎研究予算の縮小につながる恐れがある」として、即座に(6月10日)抗議声明を出している。
  http://www.jca.gr.jp/jca/secretariat/2013/files/20130610_statement_nih.pdf

 こんな風に、どのような社会的事象であれ、それを紐解いてゆけば政治に行き着き、安倍君とその取り巻き連中の策略が見えてくる。彼はひょんな事から内閣総理大臣にまで上り詰めた男であるが、その本性は、保守主義の政治家でも何でもなく、下卑た策士であるに過ぎない。『日本医療研究開発機構』は、2015年4月3日に開所式を迎えるが、ここにその時の除幕式の写真が2葉ある。



 写っている人物は、右から、機構理事長の末松誠安倍君、当時の内閣府特命担当大臣甘利明、そして一番左が、前回危険人物として採り上げた「寛子ちゃん、アーン、して、アーン」の和泉洋人である。
 忘れてならないのは、『日本医療研究開発機構』の主格所管は内閣府であり、
 その長は「内閣官房 健康・医療戦略推進本部室長」和泉洋人
 その直属部下が「内閣官房 健康・医療戦略推進本部室次長」大坪寛子、であることだ。
 このカップルの役割は「医学の基礎研究とか、いつ起こるかもしれない感染症に対する研究や組織作りなど」に対する予算を削り、「政権維持のプロパガンダに使えるとか、自身が直轄している事業など」にカネを回すことなのである。この二人、昨年の夏、何に血迷ったのか、世界中が注目しノーベル生理学・医学賞まで受賞した山中伸弥教授の iPS細胞研究予算まで停止しようとした。公費を悪用した不倫旅行などと云う、下世話なスキャンダルで済ませてはならない。国民の健康維持という国家の根本理念を犯す行為として糾弾されなければならない。「国賊」と罵倒して何の憚(はばかり)があろうか。


視覚で確かめておこう


 ビル・ゲイツは、「核戦争という現実には存在しない恐怖」に備えることを止め、「感染症という差し迫った現実の恐怖」に備えよ、と断言した。
 この2項目を単純に比較してみよう。安倍政権下で、軍事費(国防費などと云う欺瞞的用語は使うな)がいかに増加したか、国立感染症研究所(厚生労働省の施設である)の予算と人員がいかに減少させられたかをグラフで見てみよう。グラフの出所は、メモるのを忘れたので記載しない。同様の表・グラフは、ネット上に選択に困るほど沢山あります。



 このグラフから読み取る限り、国立感染症研究所の所員は 306人、予算は40億円。
 つまり、国立感染症研究所の運営規模は、

 軍事費予算と比較して、53133 : 40 、つまり、0.08% 弱
 アメリカの "CDC"と比較すると、人員で 2% 弱、予算で 0.5% 弱、である。

 怒れ、国民!


 視覚で確認、をもう1例。
 二つのホームページのトップ・ページを、並べてみる。
 その "差" は、どこから発生しているのか? 論より証拠とはこのこと。




 まず、前回紹介したように、山中伸弥教授は、自らの手で『山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信』というサイトを立ち上げられた。そのトップ・ページをコピーしておく。







 次に、比較のため、『日本医療研究開発機構』のトップ・ページもコピーしておこう。





 原子力村諸組織のホーム・ページがそうであったように、彼らはなぜ、これほど「青」が好きなのだろう。それが何をする組織なのか不明の「青」。
 
「新型コロナウイルス感染症の診断、治療、予防に関する研究開発を支援しています」という、他人事のようなキャッチ・コピーを掲げて恥じぬ精神を、どう評すればよいのか、…… 言葉も見つからぬ。


  −−【その3】了−−  



   
 『コロナ・パンデミックから何を学ぶか?』 Topへ